世の中は年末ということで、正月に向け忙しなく人々が街を行き交っている。


健と、何故か居るやっちゃんは、口をポカンと開けたままキョロキョロと見回していた。

「凄いな…、この車何?」

一通り見渡してタクに尋ねると、パソコンをいじっている手を止め

「ん~、俺のもう一つの職場ってとこかな?」

そう言うと、再びパソコンをカチカチし始めたタクに、健とやっちゃんが口を揃えて

「へぇ、お前ってただの女好きじゃなかったんだな。」
「へぇ、あんたってただのエロい奴じゃなかったのね。」

と言うと、思わず二人して吹き出してしまった。

タクは椅子から転げ落ち
「ちょ、ちょっと!二人共酷くない?」
二人を交互に指差しながら叫んでいた。

クックックと車の前からも笑い声が洩れ聞こえてきた。

「愁(シュウ)に蛍(ケイ)まで笑うんじゃねー!」

タクは顔を赤くして、運転席、助手席の二人に向かっても叫んでいた。