後を追うように「待て！」と声を出しながら、
バッと勢いよく庭に体を出した瞬間、ドンと誰かにぶつかり、「キャッ」と言う声と共に、女の人が倒れ込んでいた。

慌てて「すみません！大丈夫ですか？」
と差し延べた手を途中でピタリと止めた。

「那智（ナチ）…さん？」

イタタタッと言いながら、健の手を取り、顔を上げたその女性は、軽くウェーブがかった黒髪のロングヘアーに、長い睫の黒目がちな瞳をした、白い肌に紅い口紅とマニキュアが良く似合う以前と変わらない妖艶さを放っていた。

スカートの汚れを払いながら立ち上がり、ニッコリ微笑んで

「お久しぶり。」

そう言うと、足を捻ったから手当てをしてくれと、健に支えられて保健室に入った。