保健室の窓から庭を見ると、また来年に向け真っさらになった向日葵の花壇に、色付いた樹々の葉が、風に吹かれてチラホラ舞い降りて、彩りを添えていた。

あれから、カイのちょっかいはあるものの、少し深く、太くなった二人の絆が、穏やかな時間を与えてくれていた。


「かなり手子摺ってたんですよ、お陰で大分絞れました。
もう少しだから待ってて下さいね。」

あの時の携帯の相手、
タクが保健室のベッドに腰掛け、真顔で話したかと思うと、直ぐ何時もの
緩んだ顔をして

「ところで最近ご機嫌ですね、何かいいことありました?
あ!早速凛ちゃんいただいちゃったとか。」

健の顔に人差し指を向けながら言うと

「ばっ、そんなんじゃないよ!」

慌てて否定する健を見て

「え!もしかしてまだ?手の早さでは天下一品の穩雅ちゃんが?」

面白しろくて堪らないといった感じのタクの口調に、ガタッと椅子から立ち上がり、「テメー!」と、向かってくる健をケラケラと笑いながら

「わぁ~怖い、逃げろ!」

あっという間に保健室から庭に飛び出して行った。