「本当にいいんだな?今逃げねーと、お前は一生俺のモノになるけど」 ドアに手をついて、顔を覗き込まれた。 最後のチャンスだ、といわんばかりに真っ直ぐな瞳がぶつかる。 「最初から、逃がしてくれるつもりなんてないんでしょ?」 「よくわかってんな」 私が聞くと、弥生くんはニヤリと笑った。 いつも通りの、意地悪な顔で。