あなたと運命の番になる

はぁーーーと大きなため息をはいて、部屋のパソコンの前に座る。

和真は3LDKのタワーマンションにひとり暮らしをしている。

工場までは車で20分ほどである。

和真はなにも部品の組み立てをするためにこの工場にきたわけではない。工場のウイークポイントを見つけ、業務改善を模索するためだ。
たった1週間ほどだが改善しないといけない所がありすぎて、何からやればよいか頭を悩ます。

面倒な仕事押し付けられたわ!
親父の顔を思い浮かべ、苛立ちが込み上げる。

和真は3人兄弟の真ん中であり、姉の桜と弟の瞬がいる。
親父はヤマシロの2代目でαである。仕事のできる敏腕な男だ。
母親はβであり、両親はごく一般的な恋愛結婚だ。
両親は番ではないものの、それなりに仲良しだ。
αとβの子どもなので、姉と弟はβ、俺がαという組み合わせになったのだろう。

αとβからでもΩが生まれることはあるのだが、やはり遺伝というものはあるようで、α同士からはαが生まれやすいと言われている。

そのため政略結婚として、α同士をくっつける者たちも多い。

桜はヤマシロの仕事に興味がなく、美容師になった。美容師としての腕はなかなかであり、今じゃ、芸能人などの髪も切っている。

瞬はヤマシロを俺と共に継ぐ予定だ。兄弟で社長争いなどという感じはなく、比較的仲良くしている。

今日、なぜコンベアが止まってから、復旧まであれだけ時間がかかったのか、どの程度まで組み立てが完了したのかをまずは確かめないといけない。

そのためにはみんなが帰ってから1人で見に行く必要がある。


「行くか!」
21時を過ぎた時計を見つめ、部屋をでた。