和真は蘭をちらっと見る。
肩で息をしており、明らかにしんどそうだ。

「大黒さん、気分悪いですよね。
目をつぶってていいですよ。寝ちゃっても起こしますし。
できるだけ、楽にしてください。」

蘭は頷いて、目をつぶる。
深呼吸に集中すると幾分か気持ち悪さが半減する。



蘭が少し落ち着いて来たのをみて、少し安堵していると、家に着く。

「大黒さん、着きましたよ。」

目をつぶっている蘭に声をかける。

「ありがとうございました。本当に助かりました。
なんとお礼を言ったらいいか・・。」

蘭はペコペコと頭を下げる。
迷惑かけっぱなしで申し訳なくなる。

「全然いいですよ。
困った時はお互い様です。」

和真の優しい微笑みに胸がいっぱいになる。

私、やっぱりこの人が好きだ

改めて自覚してしまう。

「ありがとうございました。
今度なにかお礼させてください。」

蘭は申し訳なさと、離れがたさからついつい言ってしまう。

「まずは元気になってくれたらそれが1番です。
あとは、もう少し前みたいにお話させてもらえたら嬉しいですね笑」

和真の発言に蘭は顔が赤くなる。

「・・・はい。」

蘭が小さく呟いたのを見て、和真はにこりと笑い、頭を軽くぽんぽんとする。

「ではお大事に。」

和真はそう言って車を走らせた。