あなたと運命の番になる

「今日体調悪いですよね?
顔色が悪くて立ってるのが辛そうに見えます。
だから、いつもならしないような間違いがあったんじゃないですか?」

和真の指摘に驚く。蘭は体調不良をうまく隠せていると思っていた。顔色が悪いことはわかっていたので、いつもなら塗らないチークを塗ったりした。

「大丈夫ですよ!!いつも通りです。」

蘭は動揺がバレないように、元気に振る舞う。


「大黒さん、ちょっとすみません。」

和真はそう言って、手を握って少し引っ張る。

「わあっ!」
いつもなら耐えられるが、今日は体調が悪く踏ん張りがきかない。前に倒れそうになる。

「あっ・・」



慌てて目をつぶったが痛みはこない。
和真の胸の中で抱きしめられていた。

「大黒さん、ふらふらです。無理しすぎです。」

和真は軽く抱きしめたまま言う。

そして体を離して、蘭を見つめる。

「体調悪い中、無理することはないです。
今から早退したらどうですか?
お昼休憩中に家まで送ります。」

「いや、でも、今日は私間違えてますし、残業になっちゃうかもしれないですし・・・。」

自分が間違えたことで作業が遅れている。それなのに早退なんてできるはずがない。

「こういう時はお互い様です!
大黒さんは色々気にしすぎです。
もっと頼っていいんですよ。」

和真は優しい目をして蘭に告げる。

欲しかった、かけてもらいたかった言葉をいつもくれる和真に胸があつくなる。

和真はヒートが終わって復帰してから、何度も困ってることはないかや体調を心配する言葉をかけてくれた。
なのにこちらの勝手な都合で冷たい態度をとっていた。

「谷本さんは優しすぎます。」

蘭はぽろぽろと涙を流す。
今日のミスの反省、和真にとった態度など色んな思いが駆け巡り、体調不良で弱った蘭は抑えられなかった。

蘭の涙をそっと指でふきとり、胸に抱きしめる。

「大丈夫ですから。」

和真は蘭の背中をさすりながら、泣き止むのを待った。