あなたと運命の番になる

「大黒さん、お疲れ様です。」

仕事終わりに和真は声をかける。

「お疲れ様です。
お休みいただいて、すみませんでした。」

蘭は和真をほとんど見ることなく、頭を下げて去る。

「待って。
今日は車に乗って下さい。送っていきます。」

蘭を引き止める。
少し細くなった体を見て心配になる。

「大丈夫です。今日は定時であがれましたし。
座って仕事させてもらい、すみませんでした。」

再び、頭を下げる。
そして和真の目を見ることなく通り過ぎようとする。

「大黒さん、今日は久しぶりの仕事で疲れましたよね。
送るから、乗って下さい。」

「大丈夫です。」

「送ります!!」

蘭は無言で去る。



「大黒さん!!」

過ぎ去る蘭の腕を握る。


「体調まだよくないんですよね。
頼ってください。
絶対何もしませんから。」

視線を無理やり合わされる。
綺麗だが意志の強そうな目で見られると目が離せなくなる。

甘えたくなる気持ちに蓋をする。
ここで決意を崩したらもっと忘れられなくなる・・・。


「お疲れ様でした。失礼します。」

動揺がバレないよう目を逸らし、腕を払う。
小走りでその場を離れた。