あなたと運命の番になる

休んでいた間に少し変わっていたことがある。
まず、主任というポジションができ、その主任が各メンバーをまとめている。

田中は蘭と同メンバーであり、その中の主任に抜擢されていた。
同じメンバーは蘭にとって苦手意識が少ない人ばかりで安堵する。

もし仕事でトラブル等があれば、主任を中心にチームで解消する。そして主任が工場長達と連携をとる。
残業も主任の許可があれば可能。作業遅れがおこれば、基本チームのみんなで残ることとなる。
ただ、子供がいたり、なにかしら事情があればもちろん定時退勤可能だ。

チームも子供がいる人、基本的には残業可能な人、新人、ベテランなどある程度まんべんなく散らしてチームが組まれていた。

お昼休みに田中から呼ばれ、話される。

｢大黒さん、今まで何もしてあげられなくて本当にごめんね。
工場長が気持ち入れ替えたのか、新しくするって言い出したのよ。多分お叱りがあったのね笑
私語やサボり、いじめなどにも厳しく対処していくって。
今までと違って、ノルマもあるから、大変なこともあると思うけど、頑張りましょう。｣

田中はそう言って申し訳なさそうにする。
田中は1人の息子を育てるシングルマザーだ。生活がかかっており、蘭を下手にかばって、仕事がやりにくくなるのが面倒だった。蘭のことは嫌いじゃなかったが、個人主義の職場で優しくする義理もない。
かわいそうだと思っていたが、子どもはまだ小学生。
残業を代わりにしてあげることはできないし、何もせず時が経っていた。

今回、主任に昇格は驚いた。残業は出来ないことは伝えたが、今までの働きを評価すると言われた。
主任になれば、給料が上がり、生活が少し豊かになる。
来年からは息子も中学生だし、多少の残業なら、少しずつやっていけるだろう。

蘭は仕事は速やかだし、真面目だ。
今まで何もしてあげれなかた分、これからは少しでも役に立ちたいと思っていた。

｢田中さん、謝らないでください。
私、田中さんになにも嫌なことされていません。｣

蘭の言葉に田中は少し微笑んだ。