あなたと運命の番になる

「ただいまー。」
蘭の母が急いで帰ってきた。

「おかえりなさい。」
陽菜が小さな声で言う。

「蘭はヒートが何度もあったんですけど、ようやく落ち着いて眠ってます。」

陽菜は蘭の状態を話す。
いつもよりひどい状況に母も落ち込む。

「蘭、なんか言ってなかった?
最近、仕事のストレスとかひどいようじゃなかったんだけど。」

「・・・特に何も言ってないです。」

和真のことは話さないよう言われているので伝えられない。嘘をついてしまってる罪悪感を抱きながら答える。

陽菜の空白の間と雰囲気におそらくなにかあったのだろうと思う。
母は陽菜のことは昔からよく知っていて、信頼している。蘭がΩだとわかっても変わらず接してくれるとても素敵な子だと思っている。
彼女が話さない理由をあえて追求しない。

「今日は本当にありがとうね。助かったわ。」
母は陽菜に微笑んだ。

「またなにかあれば連絡ください。
お母さん仕事の日、できるだけ来ます!
今回は少し心配なので。」

陽菜はそう言って、家に帰った。