和真は平日は工場に行っているが、土日は工場の改善策を報告したり、社長の息子として、大きな会議や接待に行ったりと忙しい。

今日は全自動運転のさらなる向上のため、様々なIt会社との交流会がある。

ヤマシロを今後背負ってたつ‪α‬ということでみんな羨望の眼差しを和真に向ける。

和真は誰かに媚び売るようなことは無いが、自分が話してみたい、興味があると思う人には積極的に話しかける。

ただ、老舗の会社の社長など興味はないが無下には出来ない相手とも交流しなくてはならない。しまいには娘をどうかと紹介されることも多々ある。

綺麗に着飾る女性がたくさんいる。
社長令嬢や役員の娘。みんな綺麗に巻いた髪型にブランドバッグを持ち、ちらちらと和真を見る。

「和真ー、久しぶり!!」
大学の時の同級生だった、山中 樹(やまなか いつき)に話しかけられる。

樹はItのベンチャー企業の社長をしている。
敏腕で業績を大きく伸ばしてきた。
‪α‬であり、顔立ちがよく人懐っこい性格をしている。
大学時代に仲良くなり、今でもよく連絡をとってご飯に行く。

「樹じゃん。仕事上手くやってるみたいだな。さすがだ。」

そう言って2人は握手を交わす。

2人は仕事の話をする。今求めてるものはなにか、どの企業がこの分野に強いかなどを話す。
樹は人当たりがよいため、情報網が広い。
和真の求めてる内容に詳しい人材など、知っていることを沢山教えてくれる。

「はじめまして。山城さんと山中さんですよね。いつもご活躍拝見しています。」

令嬢の娘に声をかけられる。
綺麗に化粧された肌で目が大きく、まつ毛がくるっとあがっている。
誰が見ても綺麗だと言うだろうその女性は自信に満ち溢れている。

樹が綺麗だねと笑顔で話す。
よく盛り上がってる中に入ってこれたなと和真は思う。樹との話が中断されてしまい、正直めんどくさい。仕事の話など、より深い話ができそうな人なら良いが、見た目ばかり気遣ってる人に今日は興味がない。
今日は仕事の交流できている。交流の場を恋愛の場だと思ってるなら、お門違いだ。

「樹、またな。」
令嬢は樹に預ける。きっと彼なら上手く交わすだろ。

「あっおい!」
樹の少しめんどくさそうな声が聞こえたが、手を軽く振って離れた。