あなたと運命の番になる

蘭は家の扉をゆっくりと開ける。

小さな音だったが、母はすぐさま駆けつけてきた。

「蘭、お帰り。大丈夫??」

母は蘭が職場で冷たくされていることに気づいている。こんなに遅くなるのは何か嫌な仕事押し付けられたのだろう。
今すぐにでも仕事を辞めさせてあげたいが、1馬力で2人分稼ぐのはなかなか難しい。昔貯めてた貯金は蘭のヒートを安定させるのに合う薬を試すのに使ってしまった。蘭の薬は高額で、1人ではまかないきれない。

「うん。大丈夫!」

深夜を越えて帰ってくる時はいつも無理して明るく振る舞っているのが見てわかるが、今日はなんだかいつもと様子が違う。
いつもより嬉しそうだ。

「蘭、なんかいい事あった??」

「えっ、何もないよ。いつも通り!」

いつも通り振る舞うが、蘭は少しにやけてしまう。

「えっなになに!お母さんに教えてよ!」

「いやだよ。秘密ーー!」

蘭の笑顔を見て、母も笑う。
蘭がいつも見せない楽しそうな様子が母はとても嬉しかった。