蘭の母は帰宅し、拓也、瞳、真由の3人で話す。

「母さんには電話で簡単に話したけど、蘭ちゃんは番の人が見つかったがために、その人ことでヒートがしんどくなってるんだと思う。あと手紙のこともあって、男性に対して恐怖心が今は強まってるから、真由、さっきは助かったよ。ありがとう。」

「あんなの全然だし。」

真由は照れを隠して答える。

「どうして、αの人と番にならないんだろ?相手の人変な人なの?でも好きだから、ヒート重いんだよね?」

真由は聞く。

「真由は両親を見てきたから、番には肯定派かもしれない。一般的にΩの生活環境は裕福とはいえない。そこからいきなり、御曹司のような人と一緒になることは抵抗があるものだ。」

拓也が言う。

「生活環境を合わせるのは大変かもしれないけど、ヒートがなくなるんだよ。それに好きな人と一緒になれるのに我慢するのはよくわからないな。」

真由は言う。

「彼女は男性に抵抗があるんでしょ。Ωだから怖い思いも辛い思いもしてきてるのよ。番になるって勇気がいることよ。私もお父さんとは身分の差で悩んだことあるから、わかる気がする。」

「だけど、番が見つかることって幸せじゃん!!ヒートで苦しまなくなるんだよ!!絶対番になるべきだよ!!」

「真由!!お前の言うことはよく分かるよ。真由の意見は間違ってないし、真由がΩで辛い思いをしてきてるのは分かってるよ。ただ、真由は番の両親がいて、Ωに対して家族みんな理解がある。お金に困るような生活はしてないし、危険な目に合わないよう警備してもらってきてる。男性に襲われる恐怖やお金がなくて合う薬が飲めず、ヒートが長引くようなことはなかったろ?」

「そうだけど…。相手が悪い人じゃないなら、番になるべきだよ。」

真由は言う。

「そうだね。俺もその方がいいと思うから、この家に連れてきた。俺はβで男だから、蘭ちゃんの本心に寄り添えきれないのかなと思った。母さんや真由の気持ちを教えてあげてほしい。ただ、無理強いはしないで。あくまでも最終決定は蘭ちゃんがすべきだから。」

「分かった。」

真由の返事に拓也は頭を撫でた。

「もう!!子供扱いしないでよ!!」

真由は照れて、ぷいっと横をむく。

その光景を見て、瞳はくすくすと笑った。