一瞬だけ目を開いたイオくんは、クッと顎をもちあげて自分の家を見る。真剣な横顔。
どういう経緯で、イオくんがこの家を出たかは分からない。どうして、王史郎との仲が険悪になったのかも。
私の知らない二人の過去。
いつか、私が知る時は来るのかな?
「……コレ、着て」
「え?わッ」
ずぶ濡れになりながらイオくんの横顔を見ていた私――の上半身を見て。イオくんは、急いで自分の制服を脱いだ。そして私の肩から制服を羽織らせる。
「俺の制服、既に濡れてるから雨除けにはならないけど……いわゆる〝男の目〟除けにはなるから」
「あ、ありがとう……?」
「っていうわけで。さゆに制服返してもらわないといけないし、大人しく〝この家〟に帰るよ」
「え……うん!帰ろう、帰ろうッ」
そうか、ツンデレだから素直に「帰りたい」って言えなかったんだね!
私に制服を貸すという既成事実を作ってまで、家に帰ろうとするなんて、なんだか嬉しいな。
「イオくんが帰ってきてくれるなんて最高だね!王史郎、ぜったい喜ぶよ!王史郎が笑った顔、早く見たいなぁ~」
「……俺といるのに、王史郎ばっかだね」



