なに?
あたりの空気が、一気に冷えた。
もしかして、この人……吸血鬼⁉
クンと鼻を動かすも、バラの匂いはしない。
……おかしいな。
王史郎は「吸血鬼が近くにいたらバラの匂いがする」って言ってたのに。
「あなた……なに?」
「……しかも、本気で忘れてるし。ま、好都合か」
ボソッと呟いた後、男子はニヒルな笑みを浮かべる。
「もしかして俺が普通の人間じゃないって、分かっちゃった?」
「――っ!」
全身を、悪寒が走る。
この人、怖い――威圧感というか、オーラを目の当たりにしただけで、足が震えちゃう。
でも、この人は人間じゃない。
だったら正体は、吸血鬼!
「もし吸血鬼なら……コレを、見て!」
さっき王史郎から言われた「牽制」の仕方。
首についたシルシが見やすくなるよう、髪を一つにまとめる。
このシルシを見ただけで吸血鬼は怯えて逃げるって、王史郎は言った。
はずなんだけど……
「はい、残念。逆効果ー」
「……え?」
「俺はねぇ、アオイシが大嫌いなんだよ。
アイツをこの手で負かす日を、ずっと心待ちにしてるんだ」
「ど、」
どういう事……?
この人、王史郎が怖くないの⁉



