「ありがとう、王史郎」
「……」
「ん?どうしたの?」
静かになった王史郎の顔を覗きこむ。顔には「困惑」の二文字。
「さゆって、他の奴にも、こんな風に交換したりすんのかよ?」
「え?そりゃ〝交換して〟って言われたら、するけど……」
でも普通だよ?――言いかけた言葉は、王史郎に抱きしめられ、頭から吹っ飛ぶ。
「な、え⁉ちょ、王史郎!何してるの⁉」
「さゆが倒れる前、俺が言ったことを覚えてるか?」
「え……?」
そう言えば、昨日。
王史郎が私に、何か言っていたような……。
私がイオくんと一緒に帰って来たのが嫌とか。
私と離れるのが嫌だとか。
私がいないとダメだとか…………ん?
そう言えば、あれってどういう意味なの?
まさか、そのままの意味――?
ボンッと顔を赤くした私を見て「思い出したみたいだな」と王史郎が笑う。
「俺、今までさゆを〝仲の良い女の子〟って思っていたけど……それは違うって、昨日やっと気づいた。さゆを特別な女の子だと思っていたからこそ、守りたいと思ったんだ。
さゆは?さゆは、俺に何も思ってない?俺って、気軽に連絡先を交換できる、男子友達の一人?」
「え、いや……えっと……」
「俺は、さゆの特別じゃない?」



