「でも!どうしてあの日、私を日本へ送ったの?」
私の質問に、お母さんが視線を落とす。
そして「あの日」と、重たい口を開いた。
『九年前。イオくんに抱えられてさゆがウチに帰って来た時、ビックリした。さゆは血だらけ、イオくんも消耗しきっていたんだもの。
事情を聞けば、モクのせいでさゆの体に宝石が埋まり、王史郎くんは吸血鬼になったとか――絶望したわ。同じ親として、子供にそんな酷なことをするなんて。許せなかった』
ふぅ、と息を吐くお母さん。
その肩にお父さんが寄り添い、しっかり支えている。
『でも一番ビックリしたのは、吸血鬼になって間もない王史郎くんが、その力を使ってモクを封印したことよ。
その後、王四郎くんは、私に二つのお願いをした。
幼少期のさゆの記憶を、私に預かってほしい。
赤い宝石の存在を隠す力を貸してほしい、と』
「王史郎が……」
チラリと王史郎を見る。
彼は表情を変えず、静かに聞いていた。



