王史郎の声が、一音一音、耳の奥で木霊する。
真剣な顔したり、照れたように赤くなったり。
色んな顔で、私の名前を呼んでいる。
心配かけてごめんね、大丈夫だよ――って言いたいのに。口を出たのは、九年間言えずじまいだった言葉。
「王史郎、守ってくれて、ありがとう……」
「え?あぁ」
「これからは、ずっと一緒……スー」
「!!」
予期せぬ言葉に、王史郎の顔がリンゴみたいに赤くなる。
だけど自分の胸に寄りかかったまま、コテンと寝た私を見て。王史郎は「あ~もう!」と、盛大にため息をついた。
「ずっと一緒、なんて。殺し文句すぎるだろ……。
起きた時、〝忘れた〟なんて言わせないからな」
王史郎は熱くなった私の体をひょいと持ち上げ、ベッドに移動させる。
覚えのある浮遊感に安心したのか、私は寝言で「ふふ」と笑ってしまった。
「おうし、ろう……」
「ふっ。なんだよ、ご主人サマ」
私をベッドに降ろした後。王史郎はおもむろに私の前髪を上げ、額に口づけを落とした。
「早く元気になれよ、さゆ」
☪︎·◌˳𓇬



