私は王史郎の腕から抜け、モクに向かって前進する。
後ろから「さゆ!」と、私を止める王史郎の声が聞こえたけど……今は、写真を持っているから、大丈夫な気がする。
王史郎とイオくん・二人のお母さんである百合葉さんが、ここにいる皆を守ってくれている気がした。
「モク、聞きたいことがあるの。
どうして、強い力を手に入れたいの?」
「僕は……百合葉に、会いたかったんだ」
モクは泣き顔を隠そうともせず、私が差し出す写真を、大事そうに受け取る。ポタポタと、モクの悲しみが幾重にも床に散った。
「たった一度でいいから、百合葉に会いたかった。寂しかったんだよ、僕は百合葉が大好きだから」
「力を手に入れれば、死んだ人に会えると思ったの?」
私の言葉に、モクは力なく頷く。
「でも……僕が間違っていたね。子供たちを巻きんだ挙句、無関係な君を傷つけた。
力なんていらない。そんな事をしなくても良かったんだ。だって百合葉は、ずっとここにいたんだから」
握った写真を、胸の前で抱きしるモク。
背を丸めて泣くモクは、急に小さく見えて……そんな父親の姿を、王史郎とイオくんは黙って見つめた。



