『騎士団が闇落ちすると吸血鬼になる――コレは確かに禁忌だ。
でも二人のうちどちらかが吸血鬼にならないと、その子は助からないんだよ?』
『……っ』
『王史郎……』
ギリッと唇を噛む王史郎。そんな王史郎を、イオくんは震えながら見た。
『王史郎……お、俺が……っ』
だけどイオくんが言い切る前に。小さな声で「う」と、私がうめく。それを機に、ぱったり動かなくなった。
『さゆ……っ』
王史郎は覚悟を決めたように、目を閉じた。
そして、
『俺が堕ちる』
いうや否や、首から下げていた十字架を手でへし折る。その瞬間、王史郎は青い炎に包まれた!
「ぐぁ!」とうめく王史郎に、イオくんが必死に呼びかける。
『王史郎!王史郎!』
『ぐ、ぅ……っ』
数秒後。
王史郎の体から、幾重にも煙が立ち上る。
その煙を揺らしながら、王史郎はゆらりと立ち上がった。
『王史郎!』
『イ、オ……』
王史郎は目を開けた。その瞳は紫ではなく、青い瞳。
口からは鋭く牙が伸びている。王史郎が喋る度に、イオくんはソレを目で追った。
『な、なんで勝手なことしたんだよ!なんで王史郎が、』
『……いいから。さゆを助けるぞ』
『す、少しは俺の話を、』
『さゆが死んでもいいのかよ!』
怒声を浴びたイオくんは、「嫌だよ」と力なく零した後。涙目のまま、王史郎ではなく私へ向き直った。



