『さゆ、こっちだよ』
『いつもさゆは、おっせーなぁ』
『ま、待ってよぉ……っ』
小さな私が、一生懸命に走っている。
そんな私の前にいるのが、男の子二人。
あれは……見間違えるはずがない。
王史郎とイオくんだ。
――そうだ。
私が渡英した家の近くに、二人は住んでいた。渡英した理由は、両家庭とも「仕事の都合」だった気がする。
そこで仲良くなった子たちが、王史郎とイオくんだ。
なんで今まで、忘れていたんだろう。
だけど今なら、全て思い出せる。
あの日のことも――
今から九年前。
私が五才の時。
その日も、私たち三人は外で遊んでいた。
家の近くに山があったから、そこで探検ごっこしていたんだっけ。
だけど急に山が崩れて、どこから火の手が上がった。季節は冬、乾燥した空気を味方につけ、火の勢いはとどまることを知らなかった。
そして私たち三人は、一気に囲まれたんだ。周りは一面、火の海だった。
『さゆ!おいさゆ!』
『す、すごいケガ!』
崩れた山と一緒に崖から落ちた私は、大量に血を流していて、生死をさ迷うほどだった。



