双子の妹に幼馴染である婚約者を奪われたので、次期国王とされている殿方と結婚いたします。

日が暮れたころ、荷造りがすべて終わった。


そもそも、そんなに荷物もないから3日で十分だったわね。



「最後のディナーね。黒のドレス持ってきて頂戴」

「あちら、ですね。かしこまりました。」



―――コンコン。「リアお嬢様。夕飯の支度が整いました。」


「わかりました。ジャスパー、行くわよ」




廊下を歩くと、物珍しそうな目で私のことを見る使用人たち。



それもそうね、いつもは結っている髪を下ろしていた。



食卓に着くと、家族も目を丸くしていた。



「お前、その髪…」

「あなた…」



そう、私は髪を黒く染めてただけで実際は少し薄紫がかった白銀の髪だったのだ。



私の髪に強く嫉妬したロアがお父様たちにねだり染めるよう命じられた。



「お姉さま…その髪!!!!」

「もう、隠さなくていいかと思いまして。」

「なぜ隠していたんですの!?お父様!お母様!?」

「あら、あなたがこの髪を隠すように言ったのよ。」

「まぁいいじゃない。今日はこの子にとって最後のディナーなんだから。」

「そ、そうだな。」



特に何かを話すでもなく、黙々と料理を食べる。


その時ロアが口を開いた。



「お父様、私お願いがあるの」

「なんだい?」

「お姉さまの使用人のこの男、私の専属にしてください!」

「その男は、無理だな。」

「どうして!?」

「そこは個人で契約を結んでいる。それも、国王認可の元だ。
そのため、リア自身が契約を切ると言わないと切れないことになっている。」

「だから言ったでしょう。彼の所有権は私にあると。」

「うるさいわね!!!」

「ロア。食事中ですよ」

「っ……」



静かになったので先に食事を終わらせることに。



「お父様、お母様。いえ、ラウル伯爵、ヘレナ伯爵夫人。
16年間、お世話になりました。」

「向こうでは体に気をつけなさい。国王陛下に失礼のないようにな。」

「はい。では、明日の準備をしてまいります。」



ロアはにやにやとした顔で私を見ていた。



私はあの子の姉にはなれなかったみたいね。


「リア様、こちらはもうよろしいですか?」


ジャスパーが持っていたのはクリスからもらった宝石や衣服、飾り物が入っている箱だった。



「えぇ。明日の朝までに届けておいて」

「かしこまりました。」

「明日の衣装は普段着にするわ。」

「準備しておきます。では、明日から移動になりますのでごゆっくりお休み下さい」

「ありがとう。ジャスパーもやること終わったらすぐに休むのよ。」

「はい。」