双子の妹に幼馴染である婚約者を奪われたので、次期国王とされている殿方と結婚いたします。

3日後、シャルディア王国へ移ることが決まった。



「おじょ、リア様。書物はどうなさいますか?」

「選んでる時間はないわね。
私がいつも読んでいるもの、気に入ってるもの、政治、古代、まぁ、勉強に使っているようなもの以外は処分して。」

「かしこまりました。魔道書はどうなさいますか。」

「厳重に保管でいいわ。あの箱に入れて頂戴。」



使用人が一人、ジャスパーとこの3人で荷造りをした。


「ふぅ…」

「少しお休みになってください。」

「大丈夫よ。明日出発だし、終わらせないと。」

「明日出発だからこそです。隣国とはいえ、長距離の移動になります。
体を休めておかないと、途中でつらくなりますよ。
荷造りの指示だけください。自分がやります」

「いいの。一緒にやった方が早いでしょ?
それより、ジャスパー、あなたの荷造りは終わっているの?」

「はい。もう済んでおります。」

「あら、早いのね。」

「ですから、少し休憩をとりましょう。
お茶を入れてきます。」

「なら、お茶を2人分用意してくれる?」

「来客予定でもございましたか?」

「あなたが飲むのよ。
休憩するなら一緒に休憩しましょ。」


その時、扉が開いた。



「あら、まだ終わってなかったんですの?」

「ロア…ノックくらいしたらどうなの?」

「ふんっ。別にもうお姉様の部屋じゃなくなるんだし構わないでしょ。」

「そう。まだ荷造りの途中なの。邪魔しないでくれる?」

「生意気に…!
あ、そうだわ。お父様から聞いたの。
お姉様の嫁ぎ先、50歳くらいのご老人だそうよ?」

「そう。」

「よかったじゃなぁい。不貞されずに済むんだしっ」

「それは、あなたたちのことを言っているのかしら。」

「は?」

「姉の婚約者を奪っていくなんて、どういう神経してるのかしら。」

「私の方が魅力的だったってことじゃない。負け犬がきゃんきゃん吠えてみっともないわよ?おねえさま。」


なんともまぁ、皮肉な子になってしまったのか…。


ふと、ロアがジャスパーに目をやっているのに気付いた


「あ、そうだ。そこの使用人はおいていきなさいよ。
お姉さまは家の使用人を連れていけないでしょ?
だから、その使用人は私専属にするの。」

「何を言ってるの?彼は私についてくるのよ。」

「そんなはずないわ。お姉さまは縁切りされたのでしょ?
なら、家の使用人を連れて行くのはおかしいんじゃなくて?」

「ロア様、お話のところ申し訳ございません。
自分はリア様個人に拾われた身ですので、自分の所有権はリア様にございます。」

「何を言ってるの?
あなたはヘイリング家に仕えているのでしょ。」

「ジャスパーの言う通りよ。
彼は、この家ではなく私に仕えているのよ。」

「まぁいいわ。お父様に言って私専属に変えてもらうから。」


そう言って部屋を出て行った。


「口を挟んでしまい申し訳ございません。」

「いいのよ。事実を言っただけだもの。
それより、荷造り終わらせてしまいましょう。後は小物だけね」

「クリス様からの贈り物はどうされますか?」

「あぁ、彼からもらったものはすべて返すの。」

「返す?」

「えぇ。送り返すの。
だって、もう必要ないでしょ?」

「かしこまりました。そのように手配いたします。」