双子の妹に幼馴染である婚約者を奪われたので、次期国王とされている殿方と結婚いたします。

「リア、君にはがっかりだよ。」


「お姉様ったらひどいわ!いくら私が不出来な妹だからといって…」

「不出来だなんて、ロア。君は素敵な女性だよ。」


今私が見ているのは現実かしら。

夢であってほしい。



「君との婚約は白紙に戻させてもらう!」




公の場であんなことを言われてしまっては、私にはどうにもすることができないわね。



あの晩、私と幼馴染で婚約者であるクリスとの婚約パーティーだったはずなのに、断罪パーティーになってしまったわ。




もしかしてとは思っていたけれど、ほんとにロアと…



「うっ...!」



考えただけで吐き気がするわ。




「リアお嬢様。旦那様がお呼びでございます。」


「すぐに行くわ。」





あの夜のことだろう、私は何を言われるのやら…



可愛いロアを傷つけたとでも言われるのかしら。



―――――コンコン。


「お父様。リアでございます。」


「入れ。」


「お話とはなんでしょうか。」


「お前の縁談が決まった。」


「はぇ?」


自分の耳を疑った。



「隣国のシャルディア王国の国王陛下からいただいた話だ。」


「シャルディア王国…!!?」



シャルディア王国というのはもっぱらの戦好きだとか。


それに、シャルディアはセルディアが仕えてる国でしょ…?


そんなところに嫁ぐの!?
命がいくらあっても足りないんじゃないかしら…


「な、なぜ私がそのようなお国から縁談のお話が…」


「お前はついこの間縁談が白紙になっただろう。
それを聞きつけて、ぜひセルディアの娘をとのご所望だ。」


「ほんとに、ロアとクリスが…」


「自分で招いたことだろう。」


「なんのことです?」


「実の妹であるロアにひどいことをしたそうじゃないか。
証人も、証拠もある。それでも、貴様は否定したそうだがな。」


「私は言われのないことを言われるのに納得いかないだけです。
婚約破棄は受け入れます。ですが、ロアにしたことを1つも認めるつもりはありません。」


「まぁいい。陛下がどこに嫁ぐかはお決めになられる。」


「誰に嫁ぐのかは教えていただけないのですか?」


「向こうに行って、陛下の仰せのままに動けばいいだけだ。
お前のような一家の恥さらしがどこに嫁ごうかしらん。勝手に嫁げ。
お前はもうヘイリング家の人間じゃない。金輪際お前とは縁を切る。」



そう…もう、娘でもなんでもないってことね。



「わかりました。仰せのままに。」



家族にも見切られてしまった。



私は孤独になった。




「リアお嬢様。」


「ノア…」


「私はお嬢様のおそばを離れません。」


「それを決めるのは私じゃないわ…」


「いいえ。私のことをお雇いになったのはお嬢様です。」


「え?」


「覚えてらっしゃいませんか?裏路地で倒れていた自分に、私の唯一の従者にならないかとお聞きになったのです。」


「そう、だったわね。」


「なので、自分の所有権はお嬢様、貴女様にございます。」





いい執事兼護衛を持ったわね、私。