お菓子の国の王子様〜指切りした初恋は御曹司の溺愛プロポーズへ〜

「美愛、明日のことを話すよ」


ようちゃんに言われ、ソファーに腰を下ろした。


「美愛は、雅さんと二人きりで話したい? それとも関係者も一緒がいい?」

「関係者って……誰?」


ようちゃんは少しだけ間を置いてから答えた。


「あの女性と、その人に関係のある男性。それと圭衣も」


えっーー

頭の中が一瞬、真っ白になる。

あの女性も来るの? しかも、その人に関係のある男性……?

どうして圭衣ちゃんまでーー


「……あのね、二人きりは、ちょっと無理」

「オーケー。じゃあみんなに連絡しておくね」


ようちゃんは、いつも通りの明るい声で言った。


「あんたも、思ってることちゃんと伝えなよ。大丈夫だから」

「ようちゃん、ありがとう」

「当然でしょ。あんたがどんな結論を出しても、あたしはあんたの味方だよ」


ーー本当に、変わらない。

知り合った時からずっと、ようちゃんは私の気持ちを否定しない。ちゃんと聞いて、ちゃんと受け止めてくれる。

……だから私は、ここまで来られた。

明日、どんな結果になってもいい。

私はーー私のままでいい。




夜になると、私はほとんど口を開かなくなっていた。食欲もない。

そんな私を気遣ってくれたのか、日曜日の朝、ようちゃんが言った。


「ミッドタウン行こう。フルーツ食べ放題、予約しといたから」


……本当に、ようちゃんは。

連れて行かれたフルーツパーラーには、色とりどりの果物が並んでいた。みずみずしい果汁が、口の中に広がる。

大好きなフルーツサンドを頬張りながら、少しだけ心がほどけていくのを感じた。

うん、大丈夫。そう思えたのは、ほんの一瞬でも、確かだった。




食事を終えた私たちは、話し合いの場である『ホテル9(クー)』へ向かった。

あの日、私と一緒にあの光景を目撃してくれた仁さんが、この場を設けてくれたのだ。

『ホテル9(クー)』に来たのは、初夏だったかな。雅さんに誘われて、ケーキの食べ放題に行った。丸ごと桃のタルト--美味しかったな。

この場所には、楽しい思い出だけが残ってほしかった。