お菓子の国の王子様〜指切りした約束から婚約まで〜花村三姉妹 美愛と雅の物語

俺個人としては、そんなことをせずに早急に罰したかったが、美愛ちゃんのお父さんであるジョセフさんが、佐藤麻茉にチャンスを与えて様子を見ようと提案したのだ。娘を持つ同じ父親としての情けだろう。

佐藤の父親がどのように出るかによって、こちらも切り札を使う－－と言っても、直接佐藤親子には言わないが、悠士兄と大和が佐藤の父親に関する裏情報を集め、税務署に通報する可能性もある。

まあ、それは表向きのことで、たとえ佐藤の父親が誠意を見せても、結局はたれ込むことになる。

しかし、悠士兄と大和、この二人の情報網にはいつも感服させられる。昨晩、電話で大和に指示を出し、今朝にはもう佐藤一家を壊滅させるための情報が揃った。

税務署は佐藤敏夫のシッポを捕らえることができなかったのに。

烏丸一族を敵に回してはいけない。



俺が愛する美愛ちゃんを傷つけた佐藤は、絶対に許さない。
今まで甘やかされて育ったであろう佐藤麻茉に、屈辱的で苦い罰を与えてやる。

これは、美愛ちゃんを苦しめた佐藤麻茉への復讐だ。





佐藤親子が来る前に、ジョセフさんと圭位ちゃんと話す機会があった。自分の気持ちに素直になり、決心して、この二人から許可を得るためにお願いをする。これも俺の計画の1部だ。


「今回の件で美愛さんを傷つけてしまったこと、心よりお詫び申し上げます。私を信じていただけるかどうかは分かりませんが、これからも美愛さんを守らせていただければと思います。まだ若いことも承知していますが、彼女を愛しています。失いたくありません。もし美愛さんが私のプロポーズを受け入れてくれるなら、どうか彼女と結婚させてください。お願いします」


俺は二人に頭を下げた。数秒が経過し、ジョセフさんが少し寂しげな表情で口を開く。


「雅君、頭を上げてくれ。はぁ、参ったな。実際にこう来られると。確かに美愛はまだ22歳で結婚は早いと思っていた。しかし、君たち二人を見るたびに、分かっていたんだ。遅かれ早かれ、こうなるって。それに、久美子と圭衣から厳しく言われていてね。美愛と王子様の関係を引き裂く真似はするなって」


ジョセフさんは苦笑いをし、隣にいる圭衣ちゃんを見る。