お菓子の国の王子様〜指切りした約束から婚約まで〜花村三姉妹   美愛と雅の物語

ふーん、美愛ちゃんは耳が敏感なんだ。

彼女は何とかして、俺の腕からすり抜けようと奮闘している。


「み、雅さんのベッドを占拠してしまって、ごめんなさい。もう支度しないと」


もう少しこのままじゃれ合っていたかったが、腕を緩めて彼女を解放してあげた。



支度を終えてキッチンに入ってきた彼女に、今日は俺の車で一緒に出勤し、帰りも一緒に帰宅することを告げる。

一緒に住むにあたって契約した通り、彼女は他の人に見られることを避けるため、一緒に行くことを拒否しようとした。しかし、本音を言うと、俺にとって他人に見られようが、もうどうでもいい。

それより、今夜彼女と話し合わなければならない。





マンションから車で数分のところ、サクラスクエアオフィス側の地下駐車場へ着く。

美愛ちゃんは南エレベーターへ向かい、俺は北エレベーターで涼介の事務所に向かった。



事務所には涼介はもちろん、慶智の王子たち、涼介の父、圭介叔父さん、さらにジョセフさんと圭衣ちゃんも揃っている。

佐藤親子が来る前に、最終的な計画について話し合った。

まず、涼介、俺と大和が佐藤親子と会議室で協議する。俺たちは耳に見えにくいインカムを装着して、別室とのコミュニケーションを行う。

初めに、佐藤麻茉の解雇処分、俺たちの店舗への出禁、鈴音ちゃんへの傷害事件、そして最後に美愛ちゃんの件について話す。

佐藤麻茉が反省し謝罪するのであれば、こちらも示談を考えてもいいが、反省しないのであれば法的措置を取る。佐藤麻茉には最後のチャンスを与えるのだ。