お菓子の国の王子様〜指切りした初恋は御曹司の溺愛プロポーズへ〜

定時に会社を出て、帰宅途中にコンビニに立ち寄り、スイーツを吟味することに。

イライラするような気持ちの時には、やはり生クリームとカスタードがたっぷり入ったシュークリームに限る。汚すことを気にせず、大きな口を開けてかぶりつく--これしかない!




シュークリームを三つ買って帰宅したのは6時。一人分の夕飯を作る気にもなれず、一つ冷蔵庫に入れ、残り二つをお皿に盛ってソファーへ向かった。お酒でも飲みたい気分だったが、明日は仕事があるので紅茶を淹れた。

何だろう、急に寂しくなっちゃった。
誰かに話を聞いてほしい。

アメリカのようちゃんに電話をかけようとしたが、今は仕事をしている時間のはず。圭衣ちゃんに電話をかけた。


「はいはーい、美愛ちゃん?」

「圭衣ちゃん、ちょっと聞きたいことがあるの。ようちゃん、いつ戻って来られそう? 確か来年の初めって言っていたけれど」

「あっ、葉子? 全ての手続きが結構早く終わったらしくて、もう帰って来られるみたいよ。私も詳しいことは聞いていないのよ。けっこう忙しいらしくてさ。帰国したら、しばらくは実家にいるらしい……」


ちょうど圭衣ちゃんが言い終える前に、電話の向こうから男性の声が聞こえた。


「圭衣ちゃん、ちょっと手伝ってくれる?」


あっ、誰かいるんだ。


「圭衣ちゃん、ごめん。来客中だったの?」

「大丈夫よ。今、大和がご飯を作ってくれているの」

「えっ? 大和って……」

「美愛ちゃんのところの副社長よ。定時で上がれたから一緒に帰ってきて、作ってもらっているの。美愛ちゃんと雅さん、夕飯は何?」

「えーっと、まだ考えていないや……ってか、圭衣ちゃん、副社長とお付き合いしているの?」

「うふふ、そんな感じかな?」

「そうなんだ。じゃあ、これ以上お邪魔したくないから、切るね」


久しぶりに、みぞおちのあたりが冷たく感じた。

今日は大和副社長と一緒だと言っていたはず。

じゃあ今、雅さんはどこにいて、誰と一緒にいるの?
何をしているの?

すっかり食欲を失い、お皿のシュークリームをラップして冷蔵庫へしまった。紅茶のカップを持って自分の部屋へ向かい、やるせない気持ちでLIMEメッセージを送った。