お菓子の国の王子様〜指切りした約束から婚約まで〜花村三姉妹   美愛と雅の物語

いつもより少し早く目が覚めた。

美愛ちゃんと暮らすようになってから、睡眠の質が向上したが、今朝は一段と目覚めが良く、疲れも感じてない。

きっと昨晩、彼女を抱きしめて眠ったからだろう。

安心しきって俺の腕の中で眠る彼女が愛おしくて、思わず頭頂にキスをしたら、彼女は俺の胸に頬を寄せて擦りつけながら、片腕を背中に回して抱きついてきた。


何やら起きそうな気配がする。このまま寝たふりをして、様子を観察することにした。
彼女の顔が俺から離れて、一瞬息を呑んだようだ。


美愛ちゃんはたまに? 心の声が漏れることがある。


「えっ、えーー、どういうこと? なんで雅さんのベッドで一緒にいるの? 覚えていない、覚えていない。今動いたら雅さんを起こしちゃうよね? どうしよう? でも、もう少しこのままでいたいな。お願い、もう少しだけ」


そうつぶやきながら、彼女は再び俺の胸に頬を寄せてきた。


さっきのつぶやきは、彼女も俺に気があると受け取っていいのだろうか?あんなに可愛いお願いをされたら、抱きしめているこの手を緩めることができない。


いつまでもこのまま彼女を抱きしめていたいと思うが、そろそろ起きなければならない。今日は涼介の事務所に行く必要がある。俺の計画を実行し、今日ですべての決着をつけるつもりだ。




さてと……今、起きたふりでもしようか。


「ん~、美愛ちゃん、おはよう」

「お、おはようございます、雅さん。あの……」

「よく眠れた? 俺は久しぶりにしっかりと眠れたよ」



腕の力を強め、少し意地悪をして耳元でささやくと、彼女の身体がピクッと反応するのを感じる。