「昨日、涼介さんが雅さんに指示を出しているのを聞いて。被害者の方に対して、何て残酷なことをするんだろうって。実は、私はセクハラとストーカーの被害者で、いつも警察の方から、『あなたのせいでは?』と言われ続けてて。被害者なのに、こちらが悪いって。しかも、弁護士は被害者を守るべき存在なのに。被害者がどれほど精神的に傷つくか、わかっているはずなのに。だから許せなくて」
「私もそう思ったの。私、何もしていないのにって。きっと涼介先生と社長には、何か理由があったのだろうと思うけど。教えてくれてありがとう。あの、鈴音さんはおいくつ? 私と同じ年代かな?」
私は重苦しい雰囲気を和らげるために、話題を変えることにした。
「21歳です。美愛さんは?」
「私、22歳だよ。なーんだ、近いね」
「本当だ。あっ、お礼をまだしていなかった! 作っていただいたお菓子は、とても美味しかったです。ありがとうございました!」
「よかった。こちらこそ、お休みの日に涼介先生に手伝ってもらっちゃって」
「あの、美愛さんがよろしければ、お友達になってくれませんか?」
「嬉しい、もちろん! じゃあ、敬語は使わないことにしよう?」
「うん、美愛ちゃんって呼んでいい?」
「私はすーちゃんじゃダメ?」
「その呼び方は美愛ちゃんが初めてだ。もちろんオーケーだよ」
ケータイの番号を交換して、私たちは別れた。
気持ちが軽くなったせいか、午後の仕事はいつも通りにこなすことができた。
5時過ぎに大和副社長から連絡があり、私の印鑑を持って北側の伊集院総合法律事務所へ行くことになった。
今度は何だろう?
なぜ印鑑を持っていかなければならないのだろう?
法律事務所の受付では、すーちゃんが私を待っていてくれ、会議室へ案内してくれた。
きっと私が不安で顔がこわばっていたからだろう。彼女がそっと私の背中に手を添えてくれる。
「大丈夫だよ、美愛ちゃん。これで全て片付くから」
「私もそう思ったの。私、何もしていないのにって。きっと涼介先生と社長には、何か理由があったのだろうと思うけど。教えてくれてありがとう。あの、鈴音さんはおいくつ? 私と同じ年代かな?」
私は重苦しい雰囲気を和らげるために、話題を変えることにした。
「21歳です。美愛さんは?」
「私、22歳だよ。なーんだ、近いね」
「本当だ。あっ、お礼をまだしていなかった! 作っていただいたお菓子は、とても美味しかったです。ありがとうございました!」
「よかった。こちらこそ、お休みの日に涼介先生に手伝ってもらっちゃって」
「あの、美愛さんがよろしければ、お友達になってくれませんか?」
「嬉しい、もちろん! じゃあ、敬語は使わないことにしよう?」
「うん、美愛ちゃんって呼んでいい?」
「私はすーちゃんじゃダメ?」
「その呼び方は美愛ちゃんが初めてだ。もちろんオーケーだよ」
ケータイの番号を交換して、私たちは別れた。
気持ちが軽くなったせいか、午後の仕事はいつも通りにこなすことができた。
5時過ぎに大和副社長から連絡があり、私の印鑑を持って北側の伊集院総合法律事務所へ行くことになった。
今度は何だろう?
なぜ印鑑を持っていかなければならないのだろう?
法律事務所の受付では、すーちゃんが私を待っていてくれ、会議室へ案内してくれた。
きっと私が不安で顔がこわばっていたからだろう。彼女がそっと私の背中に手を添えてくれる。
「大丈夫だよ、美愛ちゃん。これで全て片付くから」



