お菓子の国の王子様〜指切りした約束から婚約まで〜花村三姉妹   美愛と雅の物語

なんだか全身が温かくて気持ちいいし、安心。

あれ? でも、プードルのBon Bonってこんなに固かったっけ?


眠気まなこを開けると、目の前は一面ネイビーブルー。


えっ、金縛り? なんだか体が思うように動かない。何だろう、背中に何か感触がある。
ゆっくりと上を見上げると、雅さんの寝顔が‼︎

驚いて息を飲み、思わず小声でささやいてしまった。


「えっ、えーー、どういうこと? なんで雅さんのベッドで一緒にいるの? 覚えていない、覚えていない。今動いたら雅さんを起こしちゃうよね? どうしよう? でも、もう少しこのままでいたいな。お願い、もう少しだけ」


この心臓の鼓動よ、鎮まれ!
雅さんに気づかれちゃうよ。
ハァ〜、温かい。
雅さんにこうやって抱きしめてもらえるのが好き。
時が止まっちゃえばいいのに。


「ん~、美愛ちゃん、おはよう」

「お、おはようございます、雅さん。あの……」


あっ、雅さんが起きてしまった。
ちょっと残念。


「よく眠れた? 俺は久しぶりにしっかり眠れたよ」


えっ、どうして?
さっきよりも強く抱きしめられているんだけれど。それに、そんな耳元で言われたら、私、絶対今顔が赤いよ。
と、とにかく、もう起きた方がいいよね?
どうしたら雅さんの腕から抜け出せるの?


「み、雅さんのベッドを占拠してしまって、ごめんなさい。もう支度しないと。」

「あ~、もう時間か? 仕方がないな」



自室に戻って落ち着きを取り戻し、急いで身支度を整えた。


まだ雅さんの腕や胸板の感触が残ってる。
この感覚、忘れたくない。