だからさらに近づき、もう一度彼女の名前を叫び思い切り抱きしめた。迷いを断ち切るように。
「やっと見つけた……無事でよかった!」
10月半ば、日中はまだ過ごしやすい陽気だが、朝晩は肌寒く感じる。コートを持っていない彼女の体と髪は、冷たくなっていた。
「こんなに冷たくなって」
スーツの上着を脱ぎ、急いで彼女にかける。美愛ちゃんはうつむいたまま、何も言わない。
もう絶対に君を離さない。
彼女の冷たくなった指を絡めて、手を繋いだ。
「俺たちの家に帰ろう」
月の光に照らされながら、二人で静かに家へ向かって歩き出した。
「部屋に行って、お風呂の準備をしておいで。俺は湯加減を見てくるから。とにかく温まらないと」
家に着くや否や、そう言った。美愛ちゃんを探しに行く前に、自動お湯張りセットをしておいてよかった。
彼女がお風呂に入っている間、涼介と京兄に無事に戻ってきたことを伝える。涼介は彼女の顔を知っている仁にも声をかけ、二人で探しに行ってくれたようだ。
ぬれたままの髪でキッチンを通り、部屋へ向かおうとする美愛ちゃんを呼び止めて、ソファーに座らせる。
せっかく温まったのに、濡れた髪のままで寝てしまうと風邪をひいてしまう。
「風邪をひかないように、しっかり乾かさないと」
ドライヤーで乾かそうとしたとき、彼女は大丈夫と言って立ち上がった。軽く彼女の肩を押して、再びソファーに座らせる。
「いいから、俺の言うことを聞いて」
絹のような彼女の髪がドライヤーの風でふわっと舞い上がる。
そういえば、あの時の小さなお姫様の髪も、風に吹かれて、こんな感じだったな。
「やっと見つけた……無事でよかった!」
10月半ば、日中はまだ過ごしやすい陽気だが、朝晩は肌寒く感じる。コートを持っていない彼女の体と髪は、冷たくなっていた。
「こんなに冷たくなって」
スーツの上着を脱ぎ、急いで彼女にかける。美愛ちゃんはうつむいたまま、何も言わない。
もう絶対に君を離さない。
彼女の冷たくなった指を絡めて、手を繋いだ。
「俺たちの家に帰ろう」
月の光に照らされながら、二人で静かに家へ向かって歩き出した。
「部屋に行って、お風呂の準備をしておいで。俺は湯加減を見てくるから。とにかく温まらないと」
家に着くや否や、そう言った。美愛ちゃんを探しに行く前に、自動お湯張りセットをしておいてよかった。
彼女がお風呂に入っている間、涼介と京兄に無事に戻ってきたことを伝える。涼介は彼女の顔を知っている仁にも声をかけ、二人で探しに行ってくれたようだ。
ぬれたままの髪でキッチンを通り、部屋へ向かおうとする美愛ちゃんを呼び止めて、ソファーに座らせる。
せっかく温まったのに、濡れた髪のままで寝てしまうと風邪をひいてしまう。
「風邪をひかないように、しっかり乾かさないと」
ドライヤーで乾かそうとしたとき、彼女は大丈夫と言って立ち上がった。軽く彼女の肩を押して、再びソファーに座らせる。
「いいから、俺の言うことを聞いて」
絹のような彼女の髪がドライヤーの風でふわっと舞い上がる。
そういえば、あの時の小さなお姫様の髪も、風に吹かれて、こんな感じだったな。



