お菓子の国の王子様〜指切りした約束から婚約まで〜花村三姉妹   美愛と雅の物語

兄の京は35歳で、双子の姉の(あおい)は32歳の内科医。

俺たち3人は幼稚舎から、多くのリベラル派が通う慶智(けいち)学院に、親友たちと共に通った。

同じ旧華族でリベラル派の九条仁(くじょう・じん)伊集院涼介(いじゅういん・りょうすけ)近衛彰人(このえ・あきと)烏丸大和(からすまる・やまと)、そして兄の西蓮寺京(さいおんじ・きょう)と大和の兄の烏丸悠士(からすまる・ゆうし)、俺を含めて『慶智の王子たち』と今でも呼ばれている。



学生時代、よく女の子たちから声をかけられた。ただ俺たちはほとんどの女の子たちが俺たち自身ではなく、俺たちの背後にあるブランド(家柄や会社など)を求めていることを知っている。

そんな時、中学2年生で初めて彼女ができた。彼女は他校の生徒で、通学中に出会った。初めてのデートでは、お小遣いを貯めて流行っていたパンケーキ屋に連れて行った。彼女は嬉しそうにしていたが、後日、彼女が友人と話しているのを聞いてしまった。


「西蓮寺君と付き合ったら、セレブな場所へ行けたり、いろいろ買ってもらえると思っていた。でもさ、初めてのデートがパンケーキ屋で、しかもみんなと同じように並んで待ったなんて、信じられない!それに、西蓮寺君は甘いものが大好きみたいで、なんだかイメージと違って幻滅してしまったわ」
 

ショックだった。まさかこんな風に思われていたなんて。もちろん彼女とはそれきりで、数回LIMEメッセージが来たけれど、ブロックした。

この時の心の傷は深く、高校1年生になっても続いていた。



慶智では、高校1年生の段階で本格的に進路を決定する。一人っ子の仁と涼介は、中学の時に親の後を継いでそれぞれ不動産ホテル業と弁護士になると決めていた。姉がいる彰人も、やはり家業である医者を目指している。