お菓子の国の王子様〜指切りした約束から婚約まで〜花村三姉妹   美愛と雅の物語

久しぶりに慶智の王子七人全員が集まって緊急会議。

涼介がすべてを説明する。もちろん、同居の件についても俺と涼介が美愛ちゃんにしたことも含めて。

涼介は、三光銀行ミッドタウン支店長の佐藤一家との話し合いを、明日午前中に伊集院総合法律事務所で行う約束をした。


よし、7時過ぎには家に着く予定だ。
ちゃんと美愛ちゃんに説明して、謝らなければ。





俺達七人は同じマンションに住んでいるが、美愛ちゃんとの同居を知っていたのは、オーナーの仁、契約書を作成した涼介、そして同居を進めた大和だけだった。

マンションのエレベーターで、兄の京に今度紹介しろと催促される。その前に、俺の気持ちを彼女に伝えなければならない。

玄関を開けると、電気がついておらず、嫌な予感がした。美愛ちゃんの靴が見当たらない。 

急いでキッチンとリビングに向かうが、やはり真っ暗だ。彼女の部屋をノックして開けてみるが、そこにもいなかった。

急いでケータイを上着から取り出し、大和に電話をかけようとしたが、あいつは今夜予定があると言っていたことを思い出した。

とりあえず涼介に、美愛ちゃんがまだ帰っていないことを知らせることにした。

その後京兄ににも電話をかける。


「雅か?」

「どうしよう、京兄。美愛ちゃんがまだ戻ってこない」

「えっ? 何時に退社したんだ?」

「5時くらいだと思う」

「もう7時20分か。どこかに寄っているとか?」

「今まで一度もそんなことはなかった。遅くなるときは必ず連絡をくれた。いつも6時くらいには家にいるから。どうしよう、このまま帰ってこなかったら」

「おい、雅。 落ち着け! 彼女が行きそうな場所はどこだ?」

「本屋やデパ地下とか。俺探してくる」

「何かあったら、すぐに連絡くれ」