お菓子の国の王子様〜指切りした約束から婚約まで〜花村三姉妹   美愛と雅の物語

「なんとなく瞳の色や、笑ったときにできるエクボが気になった。確信はないし、もし美愛ちゃんがあの姫だったとしても、彼女が俺と同じ気持ちであるとは限らない。俺だけかもしれない、いまだにあの約束を覚えているのは。それに、誰かを好きになることが怖いんだ。また傷つくのが」


俺は大和に本音を伝えた。


「美愛ちゃんが覚えているかどうかは、正直どうでもいいことだよ。重要なのは雅、お前の素直な気持ちと、傷ついた美愛ちゃんのために何をするかだよ。このまま一歩踏み出さないでいると、他の男に奪われてしまうぞ。それでもいいのか?」

「それだけは嫌だ。」


これからのことを考えながら、俺はつぶやいた。





ブレイン8での会議において、佐藤麻茉が今回行った行為について証拠映像を確認しながら、これから美愛ちゃんのお姉さんが来社して証言を取り、その後、慶智の王子七人で会議を開き、佐藤麻茉を懲戒解雇し、すぐさま全ての三光銀行本店および支店から手を引くことを報告。そして告発メールの件。


「あの社内メールにある写真の男は俺だ。今、花村さんと一緒に住んでいるから、メールが嘘であることを証言できる」


唯一、社内で俺たちの同居を知っていたのは大和と人事部長だけだったが、誰も俺の発言に驚かなかった。


「何だ、俺はてっきり先輩と花村さんがやっと婚約するのかと思っていましたよ。ダメですよ、早くことを進めないと。他の人に取られちゃいますよ!」


総務部長の杉山に同調した他の部長たちも、頷いていた。

ここでも『一歩を踏み出せ』と言われているようだ。





美愛ちゃんのお姉さん、花村圭衣さんは、どちらかと言えばお母さんの久美子さんのような和風美人で、身長は170センチあり、モデルのようなルックスを持っている。

『クールビューティー』と呼ぶにふさわしく、かっこよくて頭の切れる美人と言えば、伝わるだろうか?