だからさらに近づき、もう一度彼女の名前を叫んで思い切り抱きしめた。彼女が消えないように。
「やっと見つけた……無事でよかった!」
10月半ば、日中はまだ過ごしやすい陽気だが、朝晩は肌寒い。コートを持っていない彼女の体と髪は、すっかり冷たくなっていた。
「こんなに冷たくなって」
スーツの上着を脱いで急いで彼女にかけた。美愛ちゃんはうつむいたまま、何も言わない。
もう絶対に君を離さない。
彼女の冷たい指に自分の指を絡めて、手を繋いだ。
「俺たちの家に帰ろう」
月の光に照らされながら、二人で静かに歩き出した。
「部屋に行って、お風呂の準備をしておいで。俺が湯加減を見てくるから。とにかく早く温まらないと」
家に着くや否や、そう言った。彼女を探しに出る前に自動お湯張りをセットしておいてよかった。
彼女がお風呂に入っている間、涼介と京兄に無事に戻ってきたことを伝えた。涼介は彼女の顔を知っている仁にも声をかけ、二人で探しに行ってくれていたようだ。
ぬれたままの髪でキッチンを通り、部屋へ向かおうとする美愛ちゃんを呼び止めて、ソファーに座らせた。せっかく温まったのに、濡れた髪のまま寝てしまうと風邪をひいてしまう。
「風邪をひかないように、しっかり乾かさないと」
ドライヤーで乾かそうとすると、彼女は大丈夫と言って立ち上がった。軽く肩を押して、再びソファーに座らせる。
「いいから、俺の言うことを聞いて」
絹のような彼女の髪が、ドライヤーの風でふわっと舞い上がる。
そういえば、あの時の小さなお姫様の髪も、風に吹かれてこんな感じだったな。
乾かし終えた後、そのまま待つように言った。
少しでもリラックスして安眠できるように、キッチンでラベンダーシロップ入りのホットミルクを作る。
彼女はうつむいたままで、俺のことを一切見ようとしない。それだけ傷つけてしまったのだ。
ホットミルクを渡すと、小さな声でお礼を言ってくれた。今はどんな些細なことでも、彼女の言葉の一つ一つが俺を喜びで満たしてくれる。
そして一口含んだ彼女が、驚いた表情で俺を見つめた。
「やっと俺と目を合わせてくれたね」
嬉しさのあまり、思わず呟いてしまった。
次の瞬間、彼女の目から真珠の粒のような涙が雨のようにこぼれ落ち、か細い声で謝った。持っていたカップをテーブルに置き、彼女の頭を抱えて俺の胸に引き寄せる。
「……美愛ちゃんが無事に戻ってきたから
--ここに帰ってきたから、今はそれだけで十分だ」
泣かせたいわけではない。謝ってほしいわけでもない。美愛ちゃんには笑っていてほしいんだ。ずっと俺のそばにいて。
子供のように泣きじゃくる彼女を少し落ち着かせてから、書斎に『Meuh』の箱を取りに行った。
すすり泣く彼女の口に、一粒のキャラメルをそっと入れた。あの時と同じだ--泣いている彼女にキャラメルをあげる姿は、あの頃と変わらない気がした。
「これから先、また俺たちの意見が合わなかったり、言い合いをするかもしれない。でも、ここが美愛ちゃんの家だから。美愛ちゃんが帰ってくる場所は、ここなんだ。いいね?」
左腕で彼女を抱き寄せながら、納得させるように言った。
「やっと見つけた……無事でよかった!」
10月半ば、日中はまだ過ごしやすい陽気だが、朝晩は肌寒い。コートを持っていない彼女の体と髪は、すっかり冷たくなっていた。
「こんなに冷たくなって」
スーツの上着を脱いで急いで彼女にかけた。美愛ちゃんはうつむいたまま、何も言わない。
もう絶対に君を離さない。
彼女の冷たい指に自分の指を絡めて、手を繋いだ。
「俺たちの家に帰ろう」
月の光に照らされながら、二人で静かに歩き出した。
「部屋に行って、お風呂の準備をしておいで。俺が湯加減を見てくるから。とにかく早く温まらないと」
家に着くや否や、そう言った。彼女を探しに出る前に自動お湯張りをセットしておいてよかった。
彼女がお風呂に入っている間、涼介と京兄に無事に戻ってきたことを伝えた。涼介は彼女の顔を知っている仁にも声をかけ、二人で探しに行ってくれていたようだ。
ぬれたままの髪でキッチンを通り、部屋へ向かおうとする美愛ちゃんを呼び止めて、ソファーに座らせた。せっかく温まったのに、濡れた髪のまま寝てしまうと風邪をひいてしまう。
「風邪をひかないように、しっかり乾かさないと」
ドライヤーで乾かそうとすると、彼女は大丈夫と言って立ち上がった。軽く肩を押して、再びソファーに座らせる。
「いいから、俺の言うことを聞いて」
絹のような彼女の髪が、ドライヤーの風でふわっと舞い上がる。
そういえば、あの時の小さなお姫様の髪も、風に吹かれてこんな感じだったな。
乾かし終えた後、そのまま待つように言った。
少しでもリラックスして安眠できるように、キッチンでラベンダーシロップ入りのホットミルクを作る。
彼女はうつむいたままで、俺のことを一切見ようとしない。それだけ傷つけてしまったのだ。
ホットミルクを渡すと、小さな声でお礼を言ってくれた。今はどんな些細なことでも、彼女の言葉の一つ一つが俺を喜びで満たしてくれる。
そして一口含んだ彼女が、驚いた表情で俺を見つめた。
「やっと俺と目を合わせてくれたね」
嬉しさのあまり、思わず呟いてしまった。
次の瞬間、彼女の目から真珠の粒のような涙が雨のようにこぼれ落ち、か細い声で謝った。持っていたカップをテーブルに置き、彼女の頭を抱えて俺の胸に引き寄せる。
「……美愛ちゃんが無事に戻ってきたから
--ここに帰ってきたから、今はそれだけで十分だ」
泣かせたいわけではない。謝ってほしいわけでもない。美愛ちゃんには笑っていてほしいんだ。ずっと俺のそばにいて。
子供のように泣きじゃくる彼女を少し落ち着かせてから、書斎に『Meuh』の箱を取りに行った。
すすり泣く彼女の口に、一粒のキャラメルをそっと入れた。あの時と同じだ--泣いている彼女にキャラメルをあげる姿は、あの頃と変わらない気がした。
「これから先、また俺たちの意見が合わなかったり、言い合いをするかもしれない。でも、ここが美愛ちゃんの家だから。美愛ちゃんが帰ってくる場所は、ここなんだ。いいね?」
左腕で彼女を抱き寄せながら、納得させるように言った。



