お菓子の国の王子様〜指切りした約束から婚約まで〜花村三姉妹   美愛と雅の物語

これは俺の会社だけでなく、慶智の王子七人全員の問題だから。

佐藤麻茉は仁のホテル9(クー)だけでなく、彰人の近衛総合病院、そして西蓮寺のスーパー伊乃国屋から出禁になっているが、守られていない。

約6ヶ月前、涼介の事務所である伊集院総合法律事務所の記念パーティーにおいて、佐藤麻茉は涼介の妻である鈴音ちゃんに対して暴言を吐き、さらに、鈴音ちゃんの指から結婚指輪を無理やり外そうとし、彼女に引っかき傷を負わせるという事態が発生した。

だから、涼介を待たずに俺が彼女に詰問する。

でも本音は、誰にも彼女の泣き顔を見せたくない。
彼女のすべての感情を俺にぶつけてくれればいい。
すべて受け止めるから。


美愛ちゃんの向かいに前屈みで座り、しばらくうつむいていた。


俺が君の怒り、悲しみ、不安、絶望をすべて受け止める。
それから、全力で君を癒し、守るから。
たとえ君に嫌われても。


ゆっくりと上体を起こし、ケータイの録音機能をオンにして、美愛ちゃんを見つめながら話し始めた--無表情の顔で。


「これから質問することに対して、正直に答えてください。」


不安そうな表情を浮かべた美愛ちゃんは、左手で胸元にあるネックレスを服の上から触り、時折下唇をギュッと噛んだり、口から小さく息を漏らしたり。

きっと泣くのを我慢していたのだろう。
俺は心の中で彼女に謝ることしかできなかった。

彼女の洋服は、すべてお姉さんが彼女のためにデザインし、作ったもの。そういえば、お姉さんは有名なアパレル会社の社長だと言っていたな。

彼女の素行についても尋ねた。

沈痛な表情で俺を見つめ、頭を小さく振り、視線を逸らした。

彼女がそんなことをしていないのは、俺が一番知っている。
だって俺たちは一緒に住んでいるからだ。

お姉さんに電話をかけてもらい、会社に来るよう頼んだ。

美愛ちゃんは、震えるようなか細い声でうつむきながらお姉さんと話をしている。

おそらくドイツ語だろう。
俺にはどんな話をしているのか、さっぱりわからない。