「こんなに泣いてしまって。私たちで美愛ちゃんのことを守るから、ね? 大丈夫、絶対に大丈夫だから。もう今日は仕事を終わりにしましょう。美愛ちゃんはとっくに今日の分を終わらせているし。少し早いけど今日はこれで終わり。帰ってゆっくりと湯船に浸かるのもよし、甘いものを食べるのもいいわね。私のお勧めは、このフロアにある庭園かしらね。とても居心地がいい上に、人もいないのよ。もしよかったら、行ってみて」
帰り支度をして、美奈子さんと一緒に社長室の前を通りかかる。その時、中から大きな声が聞こえてきた。
「お前は一体何をしたんだ! 考えれば分かることだろう?」
初めて聞く副社長の力強い声に私は驚き、美奈子さんを見た。
「いつものことだから平気よ。それに、今回は特に、私も副社長と同じ気持ちだから」
美奈子さんは不敵な笑みを浮かべている。
Bon Bonの入口まで送ってくれた美奈子さんは、もう一度、私を抱きしめた。
「また明日ね、美愛ちゃん」
さっきトイレの鏡で見た自分の顔は、泣いたせいで目が腫れて真っ赤。このままでは外に出られないと思い、エレベーターホールを横切って、誰もいない空中庭園へ向かう。
それほど広くないこの庭園には、黄色や赤く色づいた葉をつけた木々があり、その周りには円形のベンチが配置されている。
今の時期、5時には日が暮れ始めるが、ガーデンライトのおかげで心地よい明るさが保たれていた。
ベンチに座り、暗くなる東京の空をどれくらい見つめていたのかな? おそらく、目の腫れと赤みはもう引いているだろう。
心のしこりは消えず、家にも戻りたくない私は、ここサクラスクエアのデパ地下で大好きなスイーツ巡りをして時間をつぶしたが、いつものように楽しくない。
私の足はいつの間にか、裏通りの商店街へと向かっていた。
帰り支度をして、美奈子さんと一緒に社長室の前を通りかかる。その時、中から大きな声が聞こえてきた。
「お前は一体何をしたんだ! 考えれば分かることだろう?」
初めて聞く副社長の力強い声に私は驚き、美奈子さんを見た。
「いつものことだから平気よ。それに、今回は特に、私も副社長と同じ気持ちだから」
美奈子さんは不敵な笑みを浮かべている。
Bon Bonの入口まで送ってくれた美奈子さんは、もう一度、私を抱きしめた。
「また明日ね、美愛ちゃん」
さっきトイレの鏡で見た自分の顔は、泣いたせいで目が腫れて真っ赤。このままでは外に出られないと思い、エレベーターホールを横切って、誰もいない空中庭園へ向かう。
それほど広くないこの庭園には、黄色や赤く色づいた葉をつけた木々があり、その周りには円形のベンチが配置されている。
今の時期、5時には日が暮れ始めるが、ガーデンライトのおかげで心地よい明るさが保たれていた。
ベンチに座り、暗くなる東京の空をどれくらい見つめていたのかな? おそらく、目の腫れと赤みはもう引いているだろう。
心のしこりは消えず、家にも戻りたくない私は、ここサクラスクエアのデパ地下で大好きなスイーツ巡りをして時間をつぶしたが、いつものように楽しくない。
私の足はいつの間にか、裏通りの商店街へと向かっていた。



