急に始まった同居生活は、思った以上にうまくいっている。自然と会話が増え、お互いのことを少しずつ知ることができていた。
週末の二人は、カフェ併設の本屋で数時間過ごしたり、一緒にスーパーへ買い出しに行ったり、夕飯後に散歩がてらコンビニでスイーツを買ったり。また雅は美愛を手伝い、一緒に料理をする事も増えた。
美愛が実家へジャムや味噌、手作りパスタを持って行くときは、雅が車を出してくれる。
久美子に気に入られている雅は、美愛の実家に泊まるのが常である。もちろん、部屋は別だが、なぜか、部屋着などの『お泊まりセット』まで用意されていた。
しかし、会社では以前と同様に社長と秘書の関係である。特に契約の中でこの同居については秘密と記されているため、会社内でも特定の人しか知らない。
そのため、車で出社する雅よりも、徒歩の美愛は早く家を出る。
水曜日の今日、午前中は来客があり忙しかったが、午後になり、通常業務ができるほど落ち着いてきた。
美愛は秘書室のコピー用紙をもらうために総務部へ向かった。ここしばらく、佐藤麻茉をできるだけ避けるようにしている。
総務部を覗くと、運良く麻茉はいなかった。いつも雑談をする総務のおばちゃんこと石田が、すばやく美愛のもとへ駆け寄ってきた。
「あっ、美愛ちゃん、ちょっとちょっと」
石田は美愛を人目のつかない角へ招いた。
「今日の午後、これが社内メールで送られてきたのよ。私の周りの席の子も来ていたみたい。美愛ちゃん、何か送られてきた?」
「先ほど社内メールをチェックしましたが、何も届いていませんでした」
眉をひそめ、小声で話す石田。
「やっぱり。なんとなく嫌な予感がしたから、一応メールをコピーしておいたの。社長に報告したほうがいいと思うよ。私たちはメールに書かれていることを信じていないけれど」
石田は半分に折った紙を美愛に手渡した。
週末の二人は、カフェ併設の本屋で数時間過ごしたり、一緒にスーパーへ買い出しに行ったり、夕飯後に散歩がてらコンビニでスイーツを買ったり。また雅は美愛を手伝い、一緒に料理をする事も増えた。
美愛が実家へジャムや味噌、手作りパスタを持って行くときは、雅が車を出してくれる。
久美子に気に入られている雅は、美愛の実家に泊まるのが常である。もちろん、部屋は別だが、なぜか、部屋着などの『お泊まりセット』まで用意されていた。
しかし、会社では以前と同様に社長と秘書の関係である。特に契約の中でこの同居については秘密と記されているため、会社内でも特定の人しか知らない。
そのため、車で出社する雅よりも、徒歩の美愛は早く家を出る。
水曜日の今日、午前中は来客があり忙しかったが、午後になり、通常業務ができるほど落ち着いてきた。
美愛は秘書室のコピー用紙をもらうために総務部へ向かった。ここしばらく、佐藤麻茉をできるだけ避けるようにしている。
総務部を覗くと、運良く麻茉はいなかった。いつも雑談をする総務のおばちゃんこと石田が、すばやく美愛のもとへ駆け寄ってきた。
「あっ、美愛ちゃん、ちょっとちょっと」
石田は美愛を人目のつかない角へ招いた。
「今日の午後、これが社内メールで送られてきたのよ。私の周りの席の子も来ていたみたい。美愛ちゃん、何か送られてきた?」
「先ほど社内メールをチェックしましたが、何も届いていませんでした」
眉をひそめ、小声で話す石田。
「やっぱり。なんとなく嫌な予感がしたから、一応メールをコピーしておいたの。社長に報告したほうがいいと思うよ。私たちはメールに書かれていることを信じていないけれど」
石田は半分に折った紙を美愛に手渡した。



