お菓子の国の王子様〜指切りした初恋は御曹司の溺愛プロポーズへ〜

「コミュニケーションを大切にしないか?」


 俺たちは生まれ育った環境が異なるし、まだお互いのことを、仕事以外ではあまり知らない。 少しずつでいいから、お互いのことを知っていけたらいい。


「美愛ちゃんを監視する訳じゃないが、もし夜出かける時は教えてほしい。心配だから」


「わかりまし……あっ、わ、わかった。私はほとんど出かけないの。おうち大好き人間だから。雅さん、お休みの日は?」

「俺もそんなに出歩かないかな。たまに大和たちとバーに行く感じだ。じゃあ、美愛ちゃんは友達とクラブなんかは行かないの?」


彼女は少し困った表情を浮かべた。


「行ったことがない。多分、そういう場所は苦手。私、アルコールに弱いから行っても飲めないし」

「そうなの?」

「うん、赤くなって眠くなっちゃう。だから、父さま--じゃなくて、父からも外で飲むなって言われてる」


この子が外で飲んだら、簡単にお持ち帰りされるだろう……って、あれ、今「父さま」って言った? どこかで聞き覚えがあるような。


「ジョセフさんの言う通りだね。飲むならここだけだよ、約束だからね。休日はどう過ごす予定?」

「うーん、家事をしながら料理をするかな? あっ、雅さんは結構遅くまで寝ているの?」

「遅くとも朝9時には起きるよ。明日も料理する?」

「うん、できれば朝から……いいかな?」


彼女は少し不安そうに俺を見つめた。


「もちろん。ところで、何を作るの?」

「あ、あのね、明日はね……」

パッとエクボを見せる笑顔になり、嬉しそうに話し始める彼女。

なんだかいいな。自然体でいられて、何気ない会話が心地よい。

この時、俺はまだ彼女の存在の大きさに、気づいていなかった。