お菓子の国の王子様〜指切りした約束から婚約まで〜花村三姉妹   美愛と雅の物語

雅さんが車の中でちらちらとぬいぐるみを見ているので、これについて簡単にお話しする。少し恥ずかしいけれど。

私たち家族は数年ごとに他国へ引っ越していたため、ペットを飼うことができなかった。

フランスに住んでいたある日、犬を飼いたがった私に、父さまがこの黒いプードルのぬいぐるみを渡してくれた。

両耳に結ばれた赤いリボンは姉の圭衣ちゃんが結んでくれ、首輪のタグには4歳の私が自分で犬の名前を書いた、『Bon Bon』と。

話を聞き終えた雅さんと目が合い、二人で大笑いした。

Bon Bonとはフランス語でお菓子の意味。

この一年後、私は東京で迷子になり、私の王子さまのお兄ちゃんに出会う。そして、二人でお菓子屋さんを開くことと、お兄ちゃんのお嫁さんになることを約束した。

あれから15年以上が経ち、何の因果か、私は今『Bon Bon』というお菓子を扱う会社で働いている。

そして、Bon Bonの社長との同居が始まる。



荷物が少ない私の引越しは、あまり時間がかからなかった。ただ、キッチン用品が多いだけ。

雅さんのキッチンパントリーにはコーヒーメーカーと炊飯器しか置いておらず、私が自由にアレンジして使えることになった。

アイランドキッチンから見えるリビングの大きな窓からの景色も楽しむことができる。料理をするのが待ち遠しい!





残念ながら、運送中のアクシデントで食器類が壊れてしまったため、雅さんと一緒にサクラスクエア内のモールで買い物をし、その後お蕎麦屋で夕食を取り、大型スーパーで不足している食材を買った。

帰宅後、私たちはこの同居のルールを決めるために、さまざまな話をした。

基本的に夜遊びをするタイプではなく、おうちが大好きな私はアルコールに弱い。父さまにも言われたが、雅さんにも同じことを約束させられた。外で飲まないようにと。

仕事以外で雅さんに接するのは、あのケーキ食べ放題以来。

もっと緊張するかなと思っていたけど、一緒にいると過ごしやすい。あまり気を使わずにすむ。

なんだろう、雅さんと一緒にいるととても安心する。この安心感は、胸の辺りが温かく心地よい感じがして好き。