お菓子の国の王子様〜指切りした初恋は御曹司の溺愛プロポーズへ〜

花村さんが俺の秘書になってから、数ヶ月が経った。

ケーキの食べ放題へ行ってからも、彼女の勤務態度は変わらない。仕事は的確で、必要以上に踏み込まないので助かる。

だからか、仕事に集中できていた。

まず、滞っていた契約が結ばれ、もう一つの夢であるカフェ『Bon Bon』を実現するための最終段階に向け、慌ただしく動いている。店舗の場所や内装はほぼ決まったが、スイーツメニュー、ロゴマーク、紙カップの取引先はまだ決まっていない。それと並行して、残っている在庫の活用法も考えなければならない。これらはまだ一般社員には極秘だが。




季節の変わり目のせいか、体調がすぐれない。疲れが取れず、溜まる一方だ。カフェ『Bon Bon』のオープンに向けて全力で進まなければならないのに、1日24時間では足りない。1分1秒が惜しい。

最近、大和がよく食事に誘ってくれる。そういえば、やたらとエナジードリンクやコーヒーに頼っている。家政婦として来てくれていたおばあちゃんが高齢のために辞めてから、食事が疎かになっている。

昨日、久しぶりに一日中オフィスで過ごした。お昼に花村さんが少しためらいながら、サンドイッチと甘酒を渡してくれた。


「もしよろしければ……」


久しぶりの食事を、遠慮なくいただいた。飲む点滴とも呼ばれているこの甘酒は麹だけで作られたもので、『スーパー伊乃国屋』で売っているものだ。サンドイッチはきっと手作りだろう。千切りキャベツとササミの照り焼きサンド、ツナサンド、野菜サンド。

以前、彼女が作ってくれたドイツのパイも美味しかったが、このサンドイッチもうまい。特に照り焼きサンドは格別だった。手でつまめるサンドイッチは、仕事をしながらの昼食にちょうどいい。きっと忙しい俺の体調を気遣ってくれたのだろう。