お菓子の国の王子様〜指切りした初恋は御曹司の溺愛プロポーズへ〜

あの子のおかげで、今の俺があり、『Bon Bon』がある。

……大きくなったあの子に会ってみたいな。

そんなことを思い巡らせ、一口ビールを飲む。

しかし、なんだろうこの気分。

久しぶりに肩の力が抜けたのは、きっと美愛ちゃんがドイツの件を翻訳してくれたからか。

でも、それだけじゃない。

彼女のことが頭から離れない。

ーー何を考えているんだ、俺は。10歳も年下の子だぞ。それに、入社したばかりだ。

ビール一杯で酔ってしまったのか。

でも、彼女と一緒にいるのは心地よい。


「よっ、さっきぶりだな」


ウイスキーのグラスを手にした仁と、ビールを持った大和が座るや否や、大和が早速口を開いた。


「お前、美愛ちゃんとホテル『9(クー)』行ったんだって?」


何ニヤけているんだ、大和。


「お前が言うと変な意味に聞こえる。彼女と一緒にケーキ食べ放題に行っただけだよ」


ほろ酔い気分の仁が会話に加わった。


「あのかわいいお嬢さん、俺たちの周りにまとわりつく小蝿みたいに寄ってくる女たちとは違うな。しかも雅と一緒に全種類制覇してたんだって? あははは」


一人でウケてゲラゲラ笑っている仁。


「あの小さな美愛ちゃんが? 僕も見てみたかったな」


残念がる大和に、仁が続ける。


「俺、雅が女と一緒にあんなに笑っているのを初めて見たぜ」

「えっ、そうなの?」

「あのお嬢さん、美愛ちゃんだっけ? 面白い子だね。俺も大笑いしちまった」

「仁もそう思う? 美愛ちゃんには天然なところがあるよね……って、雅。さっきから黙ってるけど、どうしたの?」


仁と大和の会話を聞きながら、俺は美愛ちゃんのことを思い巡らせていた。


「うん。あの子の瞳、以前見た記憶があるんだよ。似ている気がするんだ」

「美愛ちゃんの瞳、色が変わるよね。仁、知ってる? うちの美愛ちゃん、別名『姫』って呼ばれているんだよ」

「あぁ、わかる気がする。もしかしてあの子が、お前が昔出会った小さなお姫様だったりするんじゃねぇ?」


なぜか、その言葉が耳に残る。


「おい、雅。さっき大笑いしたこと、大和にも話さねぇと。あの可愛い話!」


それを合図に、三人で笑いながら飲み明かした。