「ぷっ!」
「ぷっ!」
我慢できずに吹き出した俺と仁。その音にハッとした彼女は、ゆっくりと恐る恐る視線を窓から前にいる俺たちへ移した。
目に涙を浮かべながら、お腹を抱えて大笑いしている俺たち。
それを見て、彼女はあっけに取られている。
俺は目尻の涙を拭きながら教えてあげる。
「み、美愛ちゃん、心の声が漏れ出てるよ」
「へっ?」
一瞬、血の気が引いた彼女の顔が、恥ずかしさで次第に真っ赤に染まっていく。
「し、し、失礼いたしました」
俯いて目を強くつぶる彼女。なかなか笑いが収まらず、肩を震わせながら言った。
「美愛ちゃん、気にしないで。あ〜、可愛かった」
「ククク、笑ってしまってすまない。でも嬉しい感想を聞けてよかった」
呼吸を整えた仁が続ける。
「このホテルの名前についている数字の9は『永遠の幸福をもたらす』という意味があるんだ。そのように感じてくださっていることを知れて嬉しかったよ。何よりも、可愛らしいものを見せてもらったしな」
仁は彼女に優しい笑顔を向けた。
気がつけば、すでに5時過ぎ。外はまだ明るいが、車で彼女を送ることにした。
バレーパーキングで話しながら車を待っている俺たち。少し離れた場所から刺すような視線が向けられていることに、俺も彼女も気づいていなかった。
「大和に聞いたんだけど、美愛ちゃんがうちで扱ってほしい商品があるって?」
「あっ、はい。フランスの『Meuh』のキャラメルです」
商品名を聞いて、思わず息が止まる。あのキャラメルを知っている人が日本にいるとは。
しばらく、美愛ちゃんを見つめてしまった。
「あれ、俺も好きなんだ。今交渉中だから、うまくいけば日本でも買える日が来るよ」
「そうなれば嬉しいなぁ。私の人生は、あのキャラメルに支えられているようなものなんです」
「かなり思い入れがあるんだね。俺も15年以上前、ある子との出会いがきっかけで将来は輸入菓子の会社を作ると決めたんだ」
「雅さんは、十代の頃からきちんと将来のことを考えていたんですね。すごいなぁ」
「なんだか照れくさいなぁ。美愛ちゃんにはどんな思い出があるの?」
「あのキャラメルに、元気をもらった気がします。安心するんです。守られているようで」
「そうだったんだ。確かにこのキャラメルは、ほっこりとした気分にさせてくれるよね。ところで、美愛ちゃんが小さい頃の夢は何だったの?」
「……」
「えっ、なになに?」
「お、お菓子屋さんでした」
「そうなんだ、叶ったね!」
「えっ?」
彼女は不思議そうな表情で俺を見た。
「視点を少し変えれば、うちの会社もお菓子屋さんだろう? だから、美愛ちゃんの夢も叶ったことになる」
「そう……ですね。でも、私一人でお菓子屋さんになっても意味がないから」
悲しそうに呟いた彼女の言葉を、聞き逃さなかった。その訳を知りたかった。しかし夕日を遠い目で見ている彼女の横顔には哀愁があり、言葉を飲み込んだ。聞いてはいけない気がしたからだ。
「ぷっ!」
我慢できずに吹き出した俺と仁。その音にハッとした彼女は、ゆっくりと恐る恐る視線を窓から前にいる俺たちへ移した。
目に涙を浮かべながら、お腹を抱えて大笑いしている俺たち。
それを見て、彼女はあっけに取られている。
俺は目尻の涙を拭きながら教えてあげる。
「み、美愛ちゃん、心の声が漏れ出てるよ」
「へっ?」
一瞬、血の気が引いた彼女の顔が、恥ずかしさで次第に真っ赤に染まっていく。
「し、し、失礼いたしました」
俯いて目を強くつぶる彼女。なかなか笑いが収まらず、肩を震わせながら言った。
「美愛ちゃん、気にしないで。あ〜、可愛かった」
「ククク、笑ってしまってすまない。でも嬉しい感想を聞けてよかった」
呼吸を整えた仁が続ける。
「このホテルの名前についている数字の9は『永遠の幸福をもたらす』という意味があるんだ。そのように感じてくださっていることを知れて嬉しかったよ。何よりも、可愛らしいものを見せてもらったしな」
仁は彼女に優しい笑顔を向けた。
気がつけば、すでに5時過ぎ。外はまだ明るいが、車で彼女を送ることにした。
バレーパーキングで話しながら車を待っている俺たち。少し離れた場所から刺すような視線が向けられていることに、俺も彼女も気づいていなかった。
「大和に聞いたんだけど、美愛ちゃんがうちで扱ってほしい商品があるって?」
「あっ、はい。フランスの『Meuh』のキャラメルです」
商品名を聞いて、思わず息が止まる。あのキャラメルを知っている人が日本にいるとは。
しばらく、美愛ちゃんを見つめてしまった。
「あれ、俺も好きなんだ。今交渉中だから、うまくいけば日本でも買える日が来るよ」
「そうなれば嬉しいなぁ。私の人生は、あのキャラメルに支えられているようなものなんです」
「かなり思い入れがあるんだね。俺も15年以上前、ある子との出会いがきっかけで将来は輸入菓子の会社を作ると決めたんだ」
「雅さんは、十代の頃からきちんと将来のことを考えていたんですね。すごいなぁ」
「なんだか照れくさいなぁ。美愛ちゃんにはどんな思い出があるの?」
「あのキャラメルに、元気をもらった気がします。安心するんです。守られているようで」
「そうだったんだ。確かにこのキャラメルは、ほっこりとした気分にさせてくれるよね。ところで、美愛ちゃんが小さい頃の夢は何だったの?」
「……」
「えっ、なになに?」
「お、お菓子屋さんでした」
「そうなんだ、叶ったね!」
「えっ?」
彼女は不思議そうな表情で俺を見た。
「視点を少し変えれば、うちの会社もお菓子屋さんだろう? だから、美愛ちゃんの夢も叶ったことになる」
「そう……ですね。でも、私一人でお菓子屋さんになっても意味がないから」
悲しそうに呟いた彼女の言葉を、聞き逃さなかった。その訳を知りたかった。しかし夕日を遠い目で見ている彼女の横顔には哀愁があり、言葉を飲み込んだ。聞いてはいけない気がしたからだ。



