オフィスビルの反対側にホテル9(クー)があり車で3分もかからない。
ホテル9(クー)は、雅の親友の一人である九条仁がオーナーを務めるラグジュアリーホテル。この名前は、永遠の幸福をもたらす数字の『9』と九条の『九』に由来したもの。
甘党の雅のために、仁は毎シーズンごとにケーキ食べ放題の個室を予約し、チケットをくれる。いつもは雅の母か姉と一緒に行くが、今回はどちらも都合が合わなかった。
45階にあるティールーム、『BONHEUR(幸せ)』は、開放感あふれる空間に、あまり高くないレモンやオレンジの木々、そしてジャスミンのブーケがアレンジされ、まるで室内庭園のようだ。
二人は角の個室に案内され、何度も訪れている雅がさっと説明する。
「個室にはワゴンで全種類のケーキが運ばれてくるよ。その後は、このタブレットを使って他のメニューも注文できるんだ。花村さん、何飲む?」
「紅茶にします。社長はいかがですか?」
「俺も紅茶にする。あっ、でも最後の締めはコーヒーがおすすめだよ。ここのコーヒーは美味しいし、デカフェもあるからね」
この個室は、2面が大きな窓になっている。窓の外には、一面に広がるミッドタウン、雲ひとつない青空が広がり、飛行機が飛んでいた。
「あっ、社長、飛行機が来ました!」
小さな子供のように目を輝かせ、指を指して伝える美愛を見ていると、思わずかわいいと感じてしまう。
雅はオフィスではあまり感情を表に出さない彼女の意外な一面を知った。
「本当だ。雲ひとつない青空は気持ちいいね。……あのさ、『社長』って呼ぶのはやめよう? 今はプライベートな時間だし、なんだか落ち着かないんだよね」
「わ、分かりました、西蓮寺さん」
少々困った顔をしながら腕を組む雅。
「うーん、それも嫌だなぁ。却下!」
「へっ? で、では……」
役職名も苗字も却下され、美愛はしばらく考え込んだ。
ホテル9(クー)は、雅の親友の一人である九条仁がオーナーを務めるラグジュアリーホテル。この名前は、永遠の幸福をもたらす数字の『9』と九条の『九』に由来したもの。
甘党の雅のために、仁は毎シーズンごとにケーキ食べ放題の個室を予約し、チケットをくれる。いつもは雅の母か姉と一緒に行くが、今回はどちらも都合が合わなかった。
45階にあるティールーム、『BONHEUR(幸せ)』は、開放感あふれる空間に、あまり高くないレモンやオレンジの木々、そしてジャスミンのブーケがアレンジされ、まるで室内庭園のようだ。
二人は角の個室に案内され、何度も訪れている雅がさっと説明する。
「個室にはワゴンで全種類のケーキが運ばれてくるよ。その後は、このタブレットを使って他のメニューも注文できるんだ。花村さん、何飲む?」
「紅茶にします。社長はいかがですか?」
「俺も紅茶にする。あっ、でも最後の締めはコーヒーがおすすめだよ。ここのコーヒーは美味しいし、デカフェもあるからね」
この個室は、2面が大きな窓になっている。窓の外には、一面に広がるミッドタウン、雲ひとつない青空が広がり、飛行機が飛んでいた。
「あっ、社長、飛行機が来ました!」
小さな子供のように目を輝かせ、指を指して伝える美愛を見ていると、思わずかわいいと感じてしまう。
雅はオフィスではあまり感情を表に出さない彼女の意外な一面を知った。
「本当だ。雲ひとつない青空は気持ちいいね。……あのさ、『社長』って呼ぶのはやめよう? 今はプライベートな時間だし、なんだか落ち着かないんだよね」
「わ、分かりました、西蓮寺さん」
少々困った顔をしながら腕を組む雅。
「うーん、それも嫌だなぁ。却下!」
「へっ? で、では……」
役職名も苗字も却下され、美愛はしばらく考え込んだ。



