お菓子の国の王子様〜指切りした約束から婚約まで〜花村三姉妹   美愛と雅の物語

そう、これがBON BONの悪魔、または問題児、佐藤麻茉。入社3年目、25歳の麻茉は、仕事よりも自分の外見を磨くことに忙しい。


「ごめんね。花村さんに嫌な思いをさせてしまって。用があってここに来たんだよね?」


驚き、唖然としている美愛に杉山が声をかけた。


「は、はい。あ、あのドリンクコーナーの電球交換をお願いしたいのですが……」

「わかりました。今すぐ人を送るからね」


杉山は申請書を笑顔で受け取り、美愛が去った後、すぐに今の出来事をブレーン8のメンバーにLIMEで伝えた。


『緊急
悪魔と姫が遭遇し、姫にひどい暴言を吐く。
音声は録音したので、後でメールにて送ります。とにかく、悪魔の行動には注意!
以上』





秘書室に戻ると、大和がいた。


「美愛ちゃん、今日は社長の資料作成とリサーチをお願いするね。本当は引き継ぎを予定していたんだけれど、昨日の時点で大丈夫だと思って。わからないことや質問があれば、いつでも聞いてね。じゃぁ社長室へ行って、よろしく」


大和は、秘書室の全メンバーに総務で発生した事件を伝える。


「さっき、総務の佐藤が美愛ちゃんにひどい暴言を吐いたそうだ。みんなも知っての通り、佐藤は社長秘書のポジションを狙っていたから、逆恨みで美愛ちゃんに何か良くないことをするのではないかと僕は思う。佐藤がここに来ることはないと思うけれど、十分に注意してください。また、美愛ちゃんのサポートもお願いしたい」


室長であり、副社長秘書の美奈子が皆を見渡した。


「もちろん、みんなで美愛ちゃんをサポートしますよ。副社長、あんな良い子を逃しちゃだめですよ」


美奈子に同調し、首を縦に振りながら、お腹の大きい国立静子はイライラしながら言う。