お菓子の国の王子様〜指切りした初恋は御曹司の溺愛プロポーズへ〜

会社に戻ったのは、終業後の午後6時だった。

防音効果のある第1会議室に、ブレーン8(エイト)が集まっている。

ブレーン8とは、慶智大学卒の後輩たちで構成されるメンバーだ。

各部の部長五人、副社長の大和、顧問弁護士の伊集院涼介、そして社長である俺を指す。


「兄貴たちと緊急でミーティングをした。その内容を共有する。うちでもすぐ対策を打つ」


みんなを見渡しながら続けた。


「うちと取引のある三光銀行ミッドタウン支店だが、顧客離れが進んでいる。銀行自体の問題ではない」


小さく息を吐く。


「うちの総務の問題児である佐藤麻茉(さとう・あさま)が、いろいろと外でトラブルを起こしているらしい。そのせいで、ミッドタウン支店長の父親にも影響が出ている」


誰も驚かない。やはり、という空気だった。遅かれ早かれ、こうなることを予測していたんだろう。


「佐藤は社内でも問題を引き起こしている。みんなには証拠を残すよう指示を出していたが、その後の進展はどうなった?」


俺の問いに最初に発言したのは、総務部長の杉山だった。


「佐藤は未だに、自分の仕事を他の社員に押し付けています」


だが、音声や動画など決定的な証拠はまだ足りない。

顧問弁護士の涼介が口を挟んだ。


「今ある証拠だけでは、解雇は難しいだろう」


しばらく考え、涼介に尋ねた。


「セキュリティ目的で監視カメラを設置するのはどうだ?各部署と廊下、特に佐藤のPC画面が見える位置に一台」

「俺の知り合いに、明日の朝までに設置できるか聞いてみようか?」


涼介がすぐにケータイで誰かに連絡を取り始めた。


「お願いするよ。これで証拠がもっと集めやすくなると思う。ミッドタウン支店との取引を今のうちに終了することが決まった。佐藤家とは手を切る」


ミーティングが終わり、それぞれが席を立とうとしたとき、大和が声を上げた。


「あっ、そうだ。言うのを忘れてた。今日面接した子を採用したから。花村さんが明日から来るので、みんなよろしくね」

「おい、大和。即決して大丈夫なのか? ちゃんと俺のサポートができるのか? また男漁りに来る女はごめんだよ」


疲れが溜まっているせいか、小さく息を吐いた。

--うんざりだ。