お菓子の国の王子様〜指切りした初恋は御曹司の溺愛プロポーズへ〜

ヤバい。
やらかした?

何か失礼をしてしまったのだろうか。
とにかく謝らないと。


「も、申し訳ございません。大変失礼いたしました」


慌てて、席に座ったまま頭を深く下げる。


「あはは、気にしないで! では、最後の質問です。今後、我が社で取り扱ってほしい商品はある?」

「あっ、はい。フランス『Meuh』のキャラメルを取り扱っていただきたいです」


思わず意気込んで、大好きなキャラメルのことを即答した。

しかし、彼はじっとこちらを見つめたまま動かない。副社長は何かを考えているようだ。沈黙が、余計に居心地の悪さを増していく。

今度こそ間違ったことを答えてしまったのではないか、そう不安に駆られた。


「花村さん、『Meuh』のキャラメルを知ってるの?」

「は、はい。幼い頃から大好きで、大切な思い出があります」

「今はいくつだっけ?」

「22歳です」

「小さい頃に日本にいたのは何歳の時?」

「えっ? 5歳の秋に一時帰国し、数年間過ごしました」


再び私を見つめながら、しばらく考え込む彼。

ーーその瞬間、にっこりと笑った。書類の入った封筒を差し出される。


「花村さん、いつから始められる? 僕としては、明日からでもお願いしたいんだけれど」

「あ、あの?」


驚いている私に、副社長が続ける。


「うん、採用決定だよ」

「あ、ありがとうございます。明日からよろしくお願いします」

「こちらこそよろしくね。この封筒の書類は、できるだけ早く人事に提出して。金曜日まで、あと2日だから」