お菓子の国の王子様〜指切りした約束から婚約まで〜花村三姉妹   美愛と雅の物語

「私って何? 雅さんにとって、私は何なの? ただの飾りのお人形なの?」

「えっ、どういうこと、美愛ちゃん?」


一体何のことを言っているのだろうか? 見当がつかない。彼女が泣きながら俺に尋ねてくるということは、重要なことなんだろう。


「あのね……み、雅さんが嘘をついて帰ってくるたびに、女性用の香水の匂いがしたの。だから、外で他の女性と一緒だったんじゃないかと思ったの。雅さんにとって、私はそう言う対象じゃないんだって。私に魅力がないから、だから……」

「ちょ、ちょっと待って、美愛ちゃん。本気で俺が君とそうなりたくないと思っているの? 毎晩君をただ抱きしめて眠るのは、俺にとって拷問と同じなんだよ。君にもっと触れたいし、その先のこともしたい。でも、婚約指輪も用意せずにプロポーズした、俺なりの誠意を示したつもりだった。それに、ジョセフさんと約束したから、美愛ちゃんが嫌がることはしないって。俺の勘が正しければ、美愛ちゃんは初めてでしょう? だから、その経験も特別なものにしたかったんだ」

「じゃあ、私はお飾りじゃないの?」


俺はゆっくりと大きく首を横に振った。改めて俺たちはコミュニケーションの重要性を再確認した。

もう嘘はつかない。お互いの強さと弱さを両方とも見せ合っていこう。それに俺は君をずっと欲しくてたまらないんだよ。

もう一度プロポーズをする、指輪を添えて。


「よかった。もう一度言わせて。花村美愛さん、俺と結婚して、一緒に子供たちの父さまと母さまになって、お菓子屋を開いてください」


美愛ちゃんの小さくて細い左薬指には、俺の愛を込めた婚約指輪をようやくはめることができた。

この指輪と共に、俺たちの関係を少し進展させてもいいだろうか?

いつもの触れるだけの口づけから、彼女の唇が薄く開いた瞬間を逃さず、舌を入れ込む。逃げる彼女の舌先を追いかけて、深く絡み合う。

唇を離すと、透明な糸が俺たちを繋いでいた。肩で息をしている彼女に、息を止めずに鼻で呼吸するように教えた。熱く甘い口づけに、彼女の可愛い顔が蕩けている。彼女の全身の力がスーッと抜けていくのが分かり、彼女を支えた。


君を怖がらせたくないから、ゆっくり進もう。

君は俺の色に染まるんだ、俺だけの色に。
いろいろ教えてあげるよ、俺のお姫様。


これからあの日交わした約束に向けて、二人で歩いていこう。


THE END


* 本作はフィクションです。登場する名称・団体・商品などは架空であり、実在のものとは関係ありません。