お菓子の国の王子様〜指切りした約束から婚約まで〜花村三姉妹   美愛と雅の物語

シャワーを終えて部屋に戻ると、ようちゃんは電話を終えたところだった。


「さっぱりしてきた? あたしのパジャマを使いな。さて、雅さんと話したよ。結論から先に言うよ。日曜日のお昼頃に会って話をするから。それまでは、ここにいてもいいから。あと、圭衣にも連絡したよ。無事だって分かって、安心してた。雅さんの様子を聞きたい?」

「……」

「よし、じゃあまた続きしよう!」


ようちゃんは小さな冷蔵庫からレモンサワーとビールを取り出し、再び二人で乾杯する。

本来であれば、雅さんの様子を聞くべきなんだろうけど。
今は疲れていて、この3週間、ううん、佐藤麻茉さんの件から、色々とどうでもよくなってしまった。

自分の価値が分からなくなる。
何も考えたくない。

彼女の優しさに甘えることに決めた。





翌日土曜日、遅く起きた私たちの顔はパンパンに浮腫んでいて、とても他人に見せられるような状態ではない。

ようちゃんは廊下に人がいないのを確認して、忍者のごとく部屋を出て1分以内に戻ってきた。

(うふふ。なんだか母さまみたいだな)

彼女の手には、アイスバケツ一杯の氷が入っている。それを昨日購入したジップロックバッグ4袋に入れていく。

不思議そうな顔をして見ている私に、氷の入った2袋を渡した。


「これで目を冷やしてね。あっ、タオルを敷くのを忘れないでね」


ああ、そうか。これで目の浮腫みが軽減されるのか。ようちゃんは要領がいいな。私なんて、そんなこと考えもしなかったよ。


この氷袋のおかげで、私たちは銀座の街を歩ける程度にむくみが引き少し遅めのブランチを楽しむために街に出かけ、その後は特に目的もなくぶらぶらと散策する。

軽めの夕食をデパ地下で購入し、ホテルキャッスルに戻る頃には、すっかり日が暮れていた。