『ホテル9(クー)』は内外ともにクリスマスデコレーションで飾られ、一層華やかな雰囲気を醸し出していた。エントランスロビーの中央には、金曜日にはなかった大きなクリスマスツリーがあり、カップルが微笑みながら写真を撮っている。
仁さんがロビーで待っていてくれたので、ホテル内の社長室隣の会議室へ案内してもらった。
会議室にはすでに皆が揃っていた。テーブルを挟んで雅さん、見知らぬ男性、そしてあの女性。横には大和副社長と仁さんが座っており、私たち三姉妹は雅さんたちの向かいの席につく。
2日ぶりに会った彼は、少しやつれた様子で目の下にクマができ、ヒゲも伸びていた。
この場の雰囲気、やっぱり嫌だな。早く終わらせたい。
圭衣ちゃんとようちゃんの間に守られるように座っている。最初に声をかけてくれたのは大和副社長だった。
「美愛ちゃんが無事でよかった。これから誤解を解いていこうね」
いつもと同じ優しい笑顔を向けてくれる副社長に、笑顔を返すことができない。
仁さんと副社長が仲介役を務め、話し合いが始まった。
「美愛ちゃん……俺がまた君を傷つけていたなんて。どう謝れば許してもらえるのだろうか?」
目の前の雅さんからは、今までにないくらい覇気が感じられない。
私が何に一番ショックを受けているのか、わかっているのかしら。他の女性と腕を組んでいるのを見た時も、帰宅した彼から甘ったるい香りがした時もショックだった。
けれど一番は--
頭の中で考えすぎて、何も言えずにただ彼を見つめている私に、あの女性が口を開いた。
「ねぇ、お嬢ちゃん。私と雅は変な関係じゃないのよ。ただのビジネスなのよ」
ふーん、ビジネスの場で腕を組んで歩くんだ。しかも、香水が彼の上着に移る距離感で。
「ねぇ、ちょっと聞いてるの? 雅と私は何でもないのよ! お嬢ちゃん、あなたが変に話をこじらせているだけなのよ。許してあげなさい。雅が可哀想だわ」
私のせいなの。
またか。
何もしていない私が、ただ雅さんの言うことを信じ、彼が嘘をついていても私が悪いんだ。まるであの時と同じ、佐藤麻茉の時と。
その時、知らない男性がその女性をたしなめた。
「やめろ、そんな言い方は。元々はお前の行動が招いたことだぞ。彼女のせいではないだろう?」
「だって、これじゃ雅が……」
雅さんはまだ沈黙を守っている。
言い訳すらないの。
なぜ何も言わないの。
名前も知らない男女二人はまだ言い争っている。仲介役の副社長は圭衣ちゃんを心配そうに見つめていた。なぜだろう。仁さんはみんなの様子をうかがっている。
こんな状況でも、不思議と客観的に周囲を見ている自分がいた。
仁さんがロビーで待っていてくれたので、ホテル内の社長室隣の会議室へ案内してもらった。
会議室にはすでに皆が揃っていた。テーブルを挟んで雅さん、見知らぬ男性、そしてあの女性。横には大和副社長と仁さんが座っており、私たち三姉妹は雅さんたちの向かいの席につく。
2日ぶりに会った彼は、少しやつれた様子で目の下にクマができ、ヒゲも伸びていた。
この場の雰囲気、やっぱり嫌だな。早く終わらせたい。
圭衣ちゃんとようちゃんの間に守られるように座っている。最初に声をかけてくれたのは大和副社長だった。
「美愛ちゃんが無事でよかった。これから誤解を解いていこうね」
いつもと同じ優しい笑顔を向けてくれる副社長に、笑顔を返すことができない。
仁さんと副社長が仲介役を務め、話し合いが始まった。
「美愛ちゃん……俺がまた君を傷つけていたなんて。どう謝れば許してもらえるのだろうか?」
目の前の雅さんからは、今までにないくらい覇気が感じられない。
私が何に一番ショックを受けているのか、わかっているのかしら。他の女性と腕を組んでいるのを見た時も、帰宅した彼から甘ったるい香りがした時もショックだった。
けれど一番は--
頭の中で考えすぎて、何も言えずにただ彼を見つめている私に、あの女性が口を開いた。
「ねぇ、お嬢ちゃん。私と雅は変な関係じゃないのよ。ただのビジネスなのよ」
ふーん、ビジネスの場で腕を組んで歩くんだ。しかも、香水が彼の上着に移る距離感で。
「ねぇ、ちょっと聞いてるの? 雅と私は何でもないのよ! お嬢ちゃん、あなたが変に話をこじらせているだけなのよ。許してあげなさい。雅が可哀想だわ」
私のせいなの。
またか。
何もしていない私が、ただ雅さんの言うことを信じ、彼が嘘をついていても私が悪いんだ。まるであの時と同じ、佐藤麻茉の時と。
その時、知らない男性がその女性をたしなめた。
「やめろ、そんな言い方は。元々はお前の行動が招いたことだぞ。彼女のせいではないだろう?」
「だって、これじゃ雅が……」
雅さんはまだ沈黙を守っている。
言い訳すらないの。
なぜ何も言わないの。
名前も知らない男女二人はまだ言い争っている。仲介役の副社長は圭衣ちゃんを心配そうに見つめていた。なぜだろう。仁さんはみんなの様子をうかがっている。
こんな状況でも、不思議と客観的に周囲を見ている自分がいた。



