顔は見えないのに、置かれたその長くて
綺麗な指を見ただけで冷静でいられた
自分の心が乱される
「お、お帰りなさい。
電話の折り返しだけ、何件かあるので
デスクトップに付箋でメモして
あります。あとは特に‥‥ッ!」
顔を見ないのも不自然かと思い、
座ったまま振り向くと、思いの外
山岡さんが屈んでいて、長い髪が
私の顔に触れたので慌ててまた
前を向いた
ビックリ‥‥した‥‥
そんなに近くにいるとは思わないし、
用件聞くだけならそこに立ってなくても
いいのに‥‥
『‥‥そう。また何かあったら
言って。緊急なら電話くれても
いいから。』
「は、はい‥分かりました。」
山岡さんはいつも通りなのに、
私が変に意識し過ぎてる‥‥
仕事中にこんなんだと、また撮影の
時みたいに注意を受けそうだから、
普通にしないと‥‥
スッと背後の気配が離れると、
そのまま自分のデスクに戻ったので、
ホッと溜め息を吐いた。
普通にしなきゃ‥‥
何のためにここにいるのかさえ
分からなくなってしまう。
電話応対、来客対応、ティータイムの
準備、事務仕事全般、掃除、買い出し。
デザインには関係ない仕事かも
知れないけど、各ジャンルの
デザイナーさんに携われる空間は
とても居心地が良くて毎日が楽しい
ブラック企業と言われてもおかしくない
職場のツラさに比べたら、天と地ほどの
待遇だと思っている
『お疲れ様でした。』
『茅葵ちゃんお疲れ、またね。』
「お疲れ様でした。お気を付けて。」
21時、ユイさんとハギさんが
帰宅され、天音さんは訪問先から
直帰となっているので、この空間に
山岡さんと2人きりになってしまった
カタカタとキーボードを打つ音や、
マウスのクリック音、iPa◯にペンで
書き込む音を聞きながら、伝票の
整理を終えると、パソコンの電源を
落とし立ち上がった
「あの‥終わりましたので私も
帰ります。お疲れ様でした。」
『悪い‥‥珈琲だけ淹れてもらえる?』
「えっ?あ、はい‥分かりました。」
眼鏡をかけ集中して仕事をする姿は、
オフでは絶対見られない真剣な顔で、
私の方を見ることもなく手はずっと
動いたままだ。
はぁ‥‥気まずい‥‥
といっても私の方だけなんだけど‥
あの日のお礼も結局出来てない‥‥
綺麗な指を見ただけで冷静でいられた
自分の心が乱される
「お、お帰りなさい。
電話の折り返しだけ、何件かあるので
デスクトップに付箋でメモして
あります。あとは特に‥‥ッ!」
顔を見ないのも不自然かと思い、
座ったまま振り向くと、思いの外
山岡さんが屈んでいて、長い髪が
私の顔に触れたので慌ててまた
前を向いた
ビックリ‥‥した‥‥
そんなに近くにいるとは思わないし、
用件聞くだけならそこに立ってなくても
いいのに‥‥
『‥‥そう。また何かあったら
言って。緊急なら電話くれても
いいから。』
「は、はい‥分かりました。」
山岡さんはいつも通りなのに、
私が変に意識し過ぎてる‥‥
仕事中にこんなんだと、また撮影の
時みたいに注意を受けそうだから、
普通にしないと‥‥
スッと背後の気配が離れると、
そのまま自分のデスクに戻ったので、
ホッと溜め息を吐いた。
普通にしなきゃ‥‥
何のためにここにいるのかさえ
分からなくなってしまう。
電話応対、来客対応、ティータイムの
準備、事務仕事全般、掃除、買い出し。
デザインには関係ない仕事かも
知れないけど、各ジャンルの
デザイナーさんに携われる空間は
とても居心地が良くて毎日が楽しい
ブラック企業と言われてもおかしくない
職場のツラさに比べたら、天と地ほどの
待遇だと思っている
『お疲れ様でした。』
『茅葵ちゃんお疲れ、またね。』
「お疲れ様でした。お気を付けて。」
21時、ユイさんとハギさんが
帰宅され、天音さんは訪問先から
直帰となっているので、この空間に
山岡さんと2人きりになってしまった
カタカタとキーボードを打つ音や、
マウスのクリック音、iPa◯にペンで
書き込む音を聞きながら、伝票の
整理を終えると、パソコンの電源を
落とし立ち上がった
「あの‥終わりましたので私も
帰ります。お疲れ様でした。」
『悪い‥‥珈琲だけ淹れてもらえる?』
「えっ?あ、はい‥分かりました。」
眼鏡をかけ集中して仕事をする姿は、
オフでは絶対見られない真剣な顔で、
私の方を見ることもなく手はずっと
動いたままだ。
はぁ‥‥気まずい‥‥
といっても私の方だけなんだけど‥
あの日のお礼も結局出来てない‥‥



